はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

念頭に際して

2019-01-16 21:33:46 | はがき随筆
 光陰矢のごとし、ということわざ通りに歳月の経過が早くて、また新年が回帰してきた。
 今年のえとは亥だが、亥とはイノシシのことである。イノシシと言えば、猪突猛進という語句が思い浮かぶ。イノシシのように向う見ずに突き進むという意味で、そのような行動は慎むべきである。
 私は後期高齢者になってから体力の衰えや動作の鈍さを痛感するが、こればかりはどうしようもない。繰り返しがきかない人生だからせめて精神的な若さを保持し脳を駆使しながら趣味を楽しみ、この年も健康を目標にして過ごそうと思っている。
 熊本市東区 竹本伸二(90) 2019/1/14 毎日新聞鹿児島版掲載

お遍路さん

2019-01-16 21:21:49 | はがき随筆
 いつか行ってみたいと、四国八十八カ所を巡るお遍路さんに憧れがあった。そこへ、期間限定の催事で体験できるとのこと。大勢の人の中、一番の霊山寺から八十八番の大窪寺までのお砂とご本尊の掛け軸があり、納め札をお供えした。実際、歩くと一カ月ほどかかるらしい。短時間な上、まね事にも見えるが、膝に自信のない私には打って付けだった。ご朱印と終了証まで頂いた。にわか仕込みの巡礼者ではあったが、心身ともに清められ、元気をもらった。帰りのすがすがしい青空、明るい日ざしが身に染みた。迷ったが、やっぱり行ってよかった。
 鹿児島県鹿屋市 中鶴裕子(69) 2019/1/16 毎日新聞鹿児島版掲載

見つけ出した楽しみ

2019-01-16 21:06:12 | はがき随筆
 地区の福祉推進チームを立ち上げて7年が過ぎた。1人暮らしの高齢者の見守りと、月1回の「推進チーム便り」を配布しながら、話しかけを始める。夫は「毎月楽しみに見ているよ」と聞くと顔をほころばせた。
 2年前に他界した夫の推進チーム便りの配布を絶やしたくないと、パソコン教室へ通う。70の手習いである。過去の便りの中から記事を拝借し移す。覚えたてのパソコン操作で10月には柿のイラストを。餅つきとサンタクロースは、12月号に挿入した。次回は、どんな「便り」を書こうか想像が膨らみ、マウスを握る手が弾む。
 宮崎県延岡市 川並ハツ子(74) 2019/1/15 毎日新聞鹿児島版掲載

カマウ選手に拍手

2019-01-16 20:59:05 | はがき随筆
 昨年末の全国高校駅伝大会女子での神村学園の優勝に心からの祝意を表する。最終走者カマウ選手がテープを切った後、選手たちは抱き合って喜びを表した。肌の色の違いなど全く関係なく、寝食を共にする信愛の情があふれていた。感想を聞かれたカマウ選手はきれいな日本語で喜びを語っていた。
 彼女は遠いケニアからやって来た。言葉や生活習慣の違いなどたいへんな苦労もあったことだろう。天性の走力もあるだろうが、苦労を乗り越え、厳しい練習に耐えて栄冠を勝ち取った。その努力、人となりに心からの拍手を送る。
 鹿児島市 野崎正昭(87) 2019/1/13 毎日新聞鹿児島版掲載