はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

メタボ検診と対応

2019-12-22 22:22:26 | はがき随筆
 毎年1回、特定病院で定期検診を受けている。身体検査と血液検査で何時も指導されるのが、体重と腹囲である。
 今回は。特定保健指導委員から詳しい生活指導を受けた。朝と夕食後の体重測定で、食事のカロリーをコントロールすることであった。運動と毎日の食事が体重に影響していること。その結果、腹囲と体重の目標設定によって、朝・夕の体重測定を3か月続けることになった。 
 年齢と共に体力は落ちているが、生活習慣病からの脱出のために、目標は食事と運動の管理、特に、毎朝のテレビ体操とエンジョイゴルフで頑張りたい。
 熊本県大津町 小堀徳廣(71) 2019/12/19 毎日新聞鹿児島版

拝啓 金栗四三様

2019-12-22 22:13:47 | はがき随筆
 終戦後、間もない昭和22年、貴男様は宮崎県都城市の旧制都城中学校(現在の都城泉ヶ丘高校)にて開催された南九州陸上選手権大会に、指導者としておいでになりました。
 当時女学生だった私は、その時の出場記念写真を持参しております。72年前のセピア色になったその写真を引き出しの奥から一番上に置き換えました。
 大河ドラマの主人公になられた偉大なお方と、一瞬と思える程の時間を共有出来たことを、誇らしく大切な思い出と致しております。
      72年前の女学生より
 宮崎市 児玉瑞(89) 2019/12/19 毎日新聞鹿児島版

鈴と色とタイマー

2019-12-22 22:04:39 | はがき随筆
 一つの山、古希を無事? 迎えたが、老いは追いかけて来る。
 まず物捜し。何気なく置いた鍵やスマホ。バッグの中、タンスの上などを捜す。そこで一案。鈴を付けた。探す時間短縮。
 次に目の衰え。持ち物は白黒を避け、赤黄緑などカラフルに。バッグの中でも「ここよ」と色が教えてくれる。
 もう一つは鍋焦がし。台所に2分、5分、12分の三つのタイマーを付けて料理中の火の消し忘れ防止。鍋焦しが減った。
 次の助っ人は? 箒と雑巾を持ったネズミの来年用自作カレンダーが『ちょこちょこ働いて脳トレ筋トレ』と目を光らす。
 熊本県八代市 今福和香子(70) 2019/12/18 毎日新聞鹿児島版

里の秋と母

2019-12-22 21:57:02 | はがき随筆
 「♪しずかなしずかな里の秋 お背戸に木の実の落ちる夜は……」。誰でも一つは想い出深い歌というものがあると思うが、私のそれは「里の秋」です。私は紫尾山麓に囲まれた山里で育った。もう今は見ることがないが、ユルイ(囲炉裏)があって煮炊きはもちろん寒い夜には炎を囲んで家族でだんらんのひとときがあった。燃料は薪だったので、深まる秋、学校から帰ると大切な薪取りの手伝いが待っていた。母ちゃんと山から運ぶ家路はいつも夕暮れになっていた。「里の秋」を口ずさむたびに、あの日の情景が鮮明に浮かび母を懐かしく思い出す。
 鹿児島県さつま町 小向井一成(71) 2019/12/17 毎日新聞鹿児島版

中村医師

2019-12-22 20:49:29 | はがき随筆
 果てがない宇宙の果てまで地球は繋がっている。その地球が砂漠化し、生活ができないで困っている人に気付いた医師。
 病気を治す前に生活できるように、灌漑用水路を地元の人を指導して作り、緑豊かな国土建設に貢献した。
 地元の人からも賛美・尊敬された。その偉大な人が何者かに銃撃され殺された。世界中の人が悔しがり悲しんだ。
 世の中すべてが善人ではない。戦争で儲け世界を牛耳っている勢力がある。これに対して世界中の一人一人が、勇気をもって「自己の正義感」で考え、正しい判断に責任をもとう。
 宮崎市 貞原信義(81) 2019/12/16 毎日新聞鹿児島版

昔は良かった

2019-12-22 20:41:30 | はがき随筆
 先ごろ映画「米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」を観た。その中でとても印象に残ったシーンがあった。
 時の総理、佐藤栄作と瀬長亀次郎氏が沖縄について国会で激しく討論し、終わった時、佐藤氏が歩み寄り彼の著書を乞い、瀬永氏も快くサインして手渡された。立場は違っても相手を認め合っていたのだと思う。
 翻ってこの頃の国会中継を見ると野党の質問中に首相が飛ばす不規則発言(ヤジ)はどうにも品格がない。「昔は良かった」と言うのは年寄りのお定まりの愚痴だけれど、少しは大叔父を見習われたらと嘆じた次第。
 熊本市中央区 増永陽(89) 2019/12/15 毎日新聞鹿児島版

誇らしきチーム

2019-12-22 20:32:03 | はがき随筆
 わがグラウンドゴルフ愛宕チームは多士済々。11月8日、いい歯の日。Y、S女子各選手は三十数本の健全な白い歯が美しく光る。かつて戦艦大和と共に海に投げ出され、九死に一生のK選手は92歳。5人のひ孫をもつ好々爺。早朝家庭菜園で汗を流し、午後はグラウンドを走り回る。スコア優秀、老いを感じさせない。労をいとわない世話役のМ選手、JRのOB、華あるウイドウたち等々。和気あいあい。振るステックに青空もほころぶ。対外ゲームにも積極的に参加、成績もそれなりに。健康年齢百歳は通過点と意気軒高。緑のグラウンドは宝の山。
 鹿児島県姶良市 宇都晃一(87) 2019/12/14 毎日新聞鹿児島版

偶然の出会い

2019-12-22 20:24:57 | はがき随筆
 熊本に友とウィーン・フィルを聴きに行った。開演前喫茶店に入ると楽団員で満席。相席となり前に男性2人。当方は娘二人で見合いの雰囲気だ。
 何か話さなければとあせりイタリアオペラを切り出すと、2人は目を輝かせ、和やかな時を共有する事ができた。
 演奏が始まると二人はコンサートマスターとビオラ奏者だ。演奏後、出口で待ち2人にブラボーと称賛しサインを頂いた。
 若い頃は大胆だったと回顧する。そのキュッヒル氏は今春、宮崎国際音楽祭でバイオリンを演奏。今もご活躍に、私の心はピチカートで一段と弾む。
 宮崎県延岡市 源島啓子(71) 2019/12/13 毎日新聞鹿児島版

崇高な活動家がなぜ

2019-12-22 20:16:39 | はがき随筆
 砂漠の大地を緑の麦畑に変えた中村哲医師が凶弾に倒れた。医療活動だけでは病気は治せないと、人の健康生活の根源に力尽くした活動が尊い。
 神のように崇められ、地域の人々に守られていたはずの氏がなぜ理不尽な目に遭ったのか。
 不戦を誓った平和憲法を持つ日本への信頼は、日本政府の自衛隊派遣により崩れ、氏は身の危険を感じるようになったという。かつて「不必要な敵を作らないことこそ内閣の責任」と言っていた氏の言葉を、安倍首相はもう一度肝に銘じてほしい。首相の悼む言葉が空々しく聞こえてならない。
 熊本市中央区 渡邊布威(81) 2019/12/12 毎日新聞鹿児島版

サプライズ

2019-12-22 18:27:37 | はがき随筆
 今年も庭に白い野路菊が満開である。枯れた松の跡まで枝を伸ばしているので整えていると、離れたツツジの下にも隠れるように菊が。固いつぼみの先端は赤みをおびている。ん? 植えた覚えもないが、日ごともにつぼみを広げ、愛らしいピンクの花を咲かせ始めた。
 ピンクの野路菊?  調べた結果、自然交雑するらしい。そう言えば一昨年数種の小菊を植えた。赤菊とのコラボか! 思いがけない事だった。今は枝を堂々と伸ばし、初冬の風に揺れている。あわよくば黄菊ともコラボして新色を咲かせてくれるかもと夢見ている。
 鹿児島県鹿屋市 日高美代子(73) 2019/12/12 毎日新聞鹿児島版

百歳体操仲間

2019-12-22 18:19:46 | はがき随筆
 公民館の百歳体操。体力に自信をなくした私は、今年の初めから週に1回の割合で参加している。頑張って、既に20回を超えた。がしかし、皆さんの勢いにはまだかなわない。今日は50回目のすごい人がいた。
 百歳体操には、いつも20人程度が集まる。それも、男性は決まって3人。他に段取りもろもろ世話をする御仁はいるが、参加者のほとんどがご婦人だ。
 ご婦人連は会話も弾み、いつもにぎやかだ。そんな様子を眺めていると結構退屈しない。今日は体操の後にジェスチャーをして、久しぶり歳を忘れて声を張り上げた。笑った。
 宮崎市 日高達男(78) 2019/12/12 毎日新聞鹿児島版

昭和ロマン

2019-12-22 18:11:48 | はがき随筆
 日曜朝のNHK「小さな旅」を楽しく見ています。静岡県熱海市が出ました。見ているうちに昔の歌が頭をよぎりました。
 熱海の海岸を散歩する貫一、お宮の歌です。テレビも何もない時代、友達とよく歌った歌です。主人が好きで宴会や集会の時、よく美声で歌っていました。5番までバッチリ歌うので、みんなから「よう知っとるね。ドラマを見るごたる」と言ってアンコールが続き、楽しい時間を作ってくれていました。
 今はなき主人の笑顔や歌声がよみがえって、私の昭和ロマンがシャボン玉のように広がり心温まる時間になりました。
 熊本県八代市 相場和子(92) 2019/12/12 毎日新聞鹿児島版

老いを捨てた男が

2019-12-22 17:58:43 | はがき随筆
 ペンクラブ発足当時、行動力にモノ言わせ、役員の方々の走り役を務めたり「マイペン」創刊号を勝手に発行したりした。糖尿病改善のためバッティングセンターで汗を流すうち、鹿児島のイチローと名付けられて対戦が激化したため会を去り、15年が過ぎた。
 先ごろ、生まれて初めて長期入院を体験し、年を思い知った。人心が恋しくなり、Мさんに電話して復帰を打診した。
 快く進めて下さった。次回の会合の日、懐かしい皆さんに会いに行こうと思っているが、どんな顔して行けば……。
 去りしとて夜長に募る里心
 鹿児島市 満山一朗(80) 2019/12/12 毎日新聞鹿児島版


 

親の顔

2019-12-22 17:50:20 | はがき随筆
 スーパーに着くと、義母は杖を車に置いてショッピングカートを押して歩く。杖から解放されてうれしそうだ。
 あれこれと迷いながらも選ぶものは大抵決まっているが、91歳要介護1の義母の顔がキリッとして主婦の顔になってくる。
 そして横にいる私に「何か欲しい物をカゴに入れなさい。買ってあげる」と言うのも常だ。「えーいいのお。では遠慮なく」段々厚かましくなり、今日は牛肉とシャケをカゴに入れた。
 60過ぎて親に肉を買ってもらうなんて情けない。と思いながらも、お礼を言われた義母は満足そうな親の顔になる。
 宮崎県日南市 小野小百合(61) 2019/12/12 毎日新聞鹿児島版

女学校

2019-12-22 17:41:11 | はがき随筆
 10月14日、早くも「私のまいにち11月号」が来た。ページをめくっている時、ふと思い出した。女学校2年の時、終戦。男女共学となり、K子は家に近い元男子校へ行ってしまった。
 月日は流れ私の婚家の「毎日夫人」に彼女の投稿を見、兄上に住所を伺い便り復活。帰省の折は会って食事を楽しんだ。
 老いて賀状と近況報告くらいになっているが、東京の広い家の一人暮らしから、この夏、息子に近い千葉の老人ホームに落ち着いて安心。
 それにつけても「毎日夫人」の取り持つ縁でこの長い友情があるのだと感謝している。
 熊本市北区 岡山徳子(87) 2019/12/12 毎日新聞鹿児島版