とある日曜日、そぼ降る雨の中、友人が八重咲のアマリリスを届けてくれた。
遠方なのに、ガラスの花瓶にたっぷりの水を入れて。すっくと伸びたくきに大輪の花が四つ開いている。まるで赤ちゃんの頭のようだった。球根から手塩にかけて育てたものを、惜しげもなく切り届けてくれた。その優しさに胸が熱くなった。
この日からアマリリスへの関心が深まる。1週間もすると花びらの一つが、しぼみ始める。4日目にはすべてしぼんだ。1本のくきから開き、貴婦人の姿を連連想した私は、静かに生涯を閉じた花に、誇りさえ感じた。
宮崎市 田原雅子(83) 2021/7/28 毎日新聞鹿児島版掲載