はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆6月度入選

2011-07-27 12:22:07 | 受賞作品

 はがき随筆9月度の入選作品が決まりました。

▽中種子町増田、西田光子さん(53)の「6月のカモメ」(26日)
▽屋久島町平内、山岡淳子さん(53)の「せんだんの花」(24)
▽出水市上鯖渕、橋口礼子さん(77)の「少年の親切」

──の3点です。

 東北の被災地のニュースで、川柳大会が行われていて、皆さん大笑いの様子でした。句会や短歌の会なども行われているようです。小学生が避難所で壁新聞を作ったり、他地区の人がミニコミ紙を配ったりもして、喜ばれているようです。まずは衣食住ですが、同時に言葉の力もその効力を大いに発揮しているようです。ハムレットふうにいえば、人間はやはり「言葉、言葉、言葉」なのですね。
 西田光子さんの「6月のカモメ」は、陸前高田市でのボランティア体験記です。カモメの鳴き声だけの被災地で、知らぬ者同士が力を併せて、瓦礫を片付けた時の連帯感が書かれている、感動的な文章です。日本のことを外国では、国民は一流、政治は三流と言っているそうですが、確かに日本人が好きになる文章です。
 山岡淳子さんの「せんだんの花」は、日ごろ地味な花なので目立ちませんが、その数の多さのために美しさに目を見張ったという文章です。見落としがちな風景に気づき、素直な驚きとともに描写したところが好印象を与えます。
 橋口礼子さんの「少年の親切」は、買い物の帰りに、荷物を運んでくれた奨学生の描写です。そのごく当然だという態度とさわやかな笑顔との描写が、読む者の気持をも心地よいものにしてくれます。
 入選作の他に3編を紹介します。
 鹿児島市唐湊、東郷久子さん(76)の「紫陽花とともに」(11日)は、台風を避けてアジサイを室内に移動したという内容ですが、のぞいてみると「花毬」たちが「花の会議中」だったという、実にオシャレな文章です。
 阿久根市大川、的場豊子さん(65)の「ダイエット」(15日)は、昔の水着を無理矢理着てダイエットを試みようとしたら、それを見たご主人がアクマキみたいだと言われたという内容です。こういうのをブラック・ユーモアというのでしょう。
 鹿児島市薬師、種子田真理さん(59)の「私もへそ曲がり」(17日)は、過日の久野茂樹さんの、地デジ化に噛みついた随筆に賛意を示すとともに、反テレビ賛読書(?)の快い、気風のいい宣言です。

(鹿児島大学名誉教授・石田忠彦)

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