はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆4月度入選

2008-05-30 20:55:32 | 受賞作品
 はがき随筆4月度の入選作品が決まりました。
△霧島市福島1、楠元勇一さん(81)の「翁草」(26日)
△薩摩川内市宮里町、田中由利子さん(66)の「こんにちは」(20日)
△鹿児島市鴨池1、川端清一郎さん(61)の「60歳の恋人」(29日)
の──3点です。
 
 この4月から選評を担当することになりました石田です。よろしくお願いします。
 初めてですので、投稿随筆のあらましを知るために、1ヶ月分を内容別に分けてみました。①日常の生活スケッチや茶飯事への感想11編②家族関係に関する物10編③季節感とそれにまつわる生活感4編④草花を中心とした季節感4編⑤社会性のあるもの3編──でした。年齢は11~81歳と幅広く、50歳代の投稿者が最多でした。
 いずれも興味深く読ませてもらいましたが、次の3編が印象鮮やかで、文章の構成も優れていましたので、優秀作に選びました。
 楠元さんの「翁草」。翁草の種をもらってまいたら、ひっそりと花開き、その花の姿が<独居生活3年余>の自分の心と触れ合うという文章です。昔はどこにでもあった翁草に対する懐旧の情と、現在の自分の心情からみた翁草の花の姿への共感、それに<仲間を増やしてやる>という来年への希望が、短い文章の中でよくまとまっています。特に翁草の花の描写が的確だと感じられました。
 田中さんの「こんにちは」。母子保健に携わって子育てのサポートをしている方の日常風景です。<澄んだ黒い瞳、オブラートのような肌に可愛いおちょぼ口>という書き出しが、文末で<今日は会えるかな。こんにちは赤ちゃん。>とみごとにまとめられています。その間に、サポートの大変さと喜びとが簡潔に述べられています。
 川端さんの「60歳の恋人」。還暦を記念して、奥さんへ書き贈ることにした恋文の内容です。<どちらが先に好きになったか>など、他人にとってはどうでもいいことが話題になるのも恋文のおもしろさでしょう。
 この3編の他に、口町丸子さん「完走しました」(7日)、別枝由井さん「ピン・ポーン」(10日)、神田橋弘子さん「愛犬との暮らし」(13日)、萩原三希子さん「道のり」(8日)が印象に残りました。

係から
 月間賞の選者が吉井和子先生から石田忠彦先生に代わりました。石田先生は鹿児島大法文学部長・副学長、鹿児島女子短大学長などを歴任、現在はかごしま近代文学館・メルヘン館のアドバイザーを務めておられます。
入選作品のうち1編は31日午前8時20分からMBCラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。
   2008/5/24 毎日新聞鹿児島版掲載


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