はがき随筆・鹿児島

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ドキュメンタリー

2016-01-27 18:08:01 | ペン&ぺん


 先週発表になった第70回毎日映画コンクールの受賞者欄を見ていたら、ドキュメンタリー映画賞で、「沖縄うりずんの雨」の名が挙がっていた。「沖縄の近現代史をみつめ、人々の尊厳を伝える」というキャッチフレーズが示す通り、米軍の記録映像を交えて戦中・戦後の沖縄の歴史をたどる作品。「うりずん」は春分から梅雨入りまでの季節を示す方言という。
 私は映画を鹿児島市内のガーデンズシネマで見たのだが、一番の関心は沖縄問題というより、映画製作・配給会社「シグロ」30周年記念映画といううたい文句だった。
 シグロは1986年に設立され、日本最大といわれた三井三池炭鉱(福岡県大牟田市)の歴史の明暗を描いた「三池~終わらない探鉱の物語」(2005年)などの作品を世に問うてきた。そのルーツをたどれば、水俣病映画を手がけた土本典昭監督(1928~2008)にたどり着く。 
 土本監督といえば早稲田大から岩波映画へ。原爆や原発、アフガン問題なども手がけ、戦後のドキュメンタリー界を引っ張った一人と言っていいと思う。「三池~」の熊谷博子監督をはじめ、西山正啓氏や藤本幸久氏ら知る人ぞ知る記録映画監督を育てたことでも知られている。かつて三池や水俣で勤務した私にとっては懐かしい名前だ。
 ところで「うりずん…」が歴史をたどる映画とすれば、たまたま同じガーデンズシネマで見た別の作品「戦場ぬ止み」は、米軍基地移設問題など沖縄の〝今〟を描いた映画だった。監督がテレビ出身だったせいか、こちらの作り方の方が私にとっては親しめたが、これは人によって評価が異なるかもしれない。
 コンクールでは、4姉妹の絆を描いた「海街diaay」で綾瀬はるかさん、長沢まさみさんが主演、助演の女優賞を受けた。こちらは映画館で見逃したので、いつかDVDで見てみたい。
  鹿児島支局長 西貴晴 2016/1/24 毎日新聞鹿児島版掲載
 

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