「はがき随筆」の掲載作品の中から、昨年の年間賞とペンクラブグランプリを先日紹介させていただきました。受賞者の話を伺っていて、たまたま共通した思いがあることに気づきました。
一つは戦争へのこだわりです。ペンクラブグランプリの西尾フミ子さん(83)は、兄が通信兵として鹿屋の海軍航空隊に配属になったのをきっかけに「少しでも一緒にいたい」と願った母が、西尾さんら娘を連れて栃木県から鹿屋へ移ってきたそうです。やがて兄は戦死し、姉は鹿屋空襲で爆弾が降る中、防空壕の中で赤ん坊を出産しました。こうした戦争中の体験を「忘れることは罪だ」との思いでペンを握っていらっしゃるとのことでした。
年間賞の伊尻清子さんの義母は25歳のとき、30歳だった夫が硫黄島で戦死し、その息子である伊尻さんの夫は父の顔を知らずに育ったそうです。ちょうど桜の時期、義母は霧島へ夫の部隊を訪ね、それが最後の別れになりました。それでも苦労を感じさせなかった義母の生き方を作品にしていらっしゃいます。
もう一つ共通してしたのは、お二人とも60歳のころに夫をがんで亡くされたことです。ショックを乗り越え、やがて「自らの思いを多くの人に聞いてもらっている」という支えにつながったと話してくださいました。
◇
毎日新聞は4月から鹿児島、熊本、宮崎の3県のニュースが互いに乗り入れる形で一つの地域面を製作することになりました。はがき随筆についても熊本、宮崎からの投稿が登場することになります。全体の掲載数をふやすため、3県の作品を集めた特集を週1回、右ページに新たに設けます。倍率は上がりますが、熊本や宮崎に負けない作品を少しでも多く掲載したいと考えています。引き続き皆さまのご投稿をお待ちしています。
鹿児島支局長・西貴晴
一つは戦争へのこだわりです。ペンクラブグランプリの西尾フミ子さん(83)は、兄が通信兵として鹿屋の海軍航空隊に配属になったのをきっかけに「少しでも一緒にいたい」と願った母が、西尾さんら娘を連れて栃木県から鹿屋へ移ってきたそうです。やがて兄は戦死し、姉は鹿屋空襲で爆弾が降る中、防空壕の中で赤ん坊を出産しました。こうした戦争中の体験を「忘れることは罪だ」との思いでペンを握っていらっしゃるとのことでした。
年間賞の伊尻清子さんの義母は25歳のとき、30歳だった夫が硫黄島で戦死し、その息子である伊尻さんの夫は父の顔を知らずに育ったそうです。ちょうど桜の時期、義母は霧島へ夫の部隊を訪ね、それが最後の別れになりました。それでも苦労を感じさせなかった義母の生き方を作品にしていらっしゃいます。
もう一つ共通してしたのは、お二人とも60歳のころに夫をがんで亡くされたことです。ショックを乗り越え、やがて「自らの思いを多くの人に聞いてもらっている」という支えにつながったと話してくださいました。
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毎日新聞は4月から鹿児島、熊本、宮崎の3県のニュースが互いに乗り入れる形で一つの地域面を製作することになりました。はがき随筆についても熊本、宮崎からの投稿が登場することになります。全体の掲載数をふやすため、3県の作品を集めた特集を週1回、右ページに新たに設けます。倍率は上がりますが、熊本や宮崎に負けない作品を少しでも多く掲載したいと考えています。引き続き皆さまのご投稿をお待ちしています。
鹿児島支局長・西貴晴
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