はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆10月度入選

2007-11-27 18:17:45 | 受賞作品
 はがき随筆10月度の入選作品が決まりました。
△阿久根市大川牛之浜、松永修行さん(81)の「充実の一日」(27日)
△鹿児島市小原町、吉利万里子さん(61)の「虫の音は心の潤い」(23日)
△鹿屋市札元、上村泉さん(66)の「思い出の永久保存」(20日)
──の3点です。
 酷暑の続く日がやっと終わりました。11月、立冬ですね。
 松永さんの「充実の一日」は、地域の小学校でスポーツの秋を楽しんだ様子をしっかり書きこみました。児童の応援合戦や日焼けした足、卒業生や地域住民の参加などなど、元気な姿が伝わって気分が若返りました。
 吉利さんの「虫の音は心の潤い」」は、秋の夜に虫の鳴く音色を全身で受け止め、静かに聴き入る世界を叙情的に表現しました。いいですねえ。今年は例年と比べると秋の風情をしみじみと述べた作品が少なかったように思います。
 上村さんは、旅先でもらったマッチや記念品のタオルを収集してきました。これらを単に取り出して眺めるだけでなく、永久保存して思い出を生かす楽しさを「思い出の永久保存」に述べました。個性あふれる発想にみちた内容で文章が生き生きしていますね。谷山潔さんは、かつて第二の職場の代表者Kさんのことを「心に残る人」(13日)で述べました。はがき随筆50回を目標にしている旨を告げると、50回と言わず自分の年齢まで続けるよう激励されて頑張りました。Kさんの人柄がよく書けましたね。
 寂しい思い出を書いた文章もいろいろありました。有村好一さんの「秋桜」(11日)、武田静瞭さんの「イエライシャン」(10日)は美しい花、香りの花にまつわる母親たちを思う心を切なくしみじみと書いています。これらの文章からは風情のある光景も浮かんできますね。
 福崎康代さんの「記憶」(16日)は、若いころに自分が教え子K君を喫煙のことでたしなめたことがありました。彼は若くして病死したのです。そのことをいつも気にかけて、説教でない言葉はなかったのかなどという深い思いを短文の中にまとめています。
(日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)
   2007/11/21 毎日新聞鹿児島版掲載

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