はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆12月度入選

2008-01-24 11:41:35 | 受賞作品
 はがき随筆12月度の入選作品が決まりました。
△出水市大野原町、小村忍さん(64)の「川内川物語」(25日)
△志布志市有明町野井倉、若宮庸成さん(68)の「千代美と遼太郎」(7日)
△鹿児島市真砂本町、萩原裕子さん(55)の「娘の成長に感謝」(22日)
の3点です。

 年も明けました。
 小村さんは川内川を13年間にわたって調査し「川内川物語」という本にまとめました。書き出しの<なぜか、川内川は元気をくれた>にひかれます。調査から出版までの努力がにじみ出ています。<本は今年の大きな思い出になった>という文章のまとめの言葉もいいですね。
 若宮さんは、猫の千代美と犬の遼太郎と楽しく暮らしてきました。特に奥さんの姿がよく描かれて楽しい風景が目に浮かびます。「千代美と遼太郎」はどこの家庭でも見かける猫、犬が家族として書かれていますが、楽しいですね。
 萩原さんの「娘の成長に感謝」は、娘さんの成長ぶりを心から感謝する筆者の広く素直な書きぶりに感動しました。娘さんの言葉もたいしたものですね。
小野美能留さんの「寝床から」(24日)は、9年にわたる病院生活をたのしく明るく過ごしている様子を描いています。雑俳と称している句も、読む人に心境が伝わってジンとしますね。「ありがたい」(9日)は、山岡淳子さんが電気炊飯器を新しく購入したことをきっかけに、母親との対話が弾みます。末尾に、筆者自身の言葉で<古い炊飯器さん、今までありがとう。……>とあり、温かい表現がいいですね。
 小村豊一郎さんの「冬の落日」(18日)は、心境をストレートに表現しています。題目どおりしみじみとした文章ですが、生命力を感じさせられました。生命力を感じさせられました。上野昭子さんの「ブルーの海」(6日)のスタートは幻想的な情景を描いています。現実は、手術により不自由な体となっても有意義な人生を過ごそうと意欲をかきたてます。
 12月度は自分を見つめる文章が多く寄せられました。12月は自分を振り返ることが多いのでしょうか。
(日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)
 係から 入選作品のうち1編は26日午前8時20分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿