2014年10月10日 (金)
岩国市 会員 横山 恵子
脳梗塞の後遺症に苦しんだ夫。帰省した息子に「カラオケがリハビリになるんだって」と言うと、翌日、私たちを連れカラオケ店へ。まず、夫が「黒田節」を披露。思わず、息子が「お父さん、うまいじや」と声をあげた。
私には「お母さんが、あれほど下手とは思わんかった」。
以後、「黒田節」は夫の十八番。しかし、声が出にくくなりカラオケから遠ざかった。少しでも元気づけたいと夫の十八番をフルートで練習した。
だが、そのさなかに急死。先日の納骨前夜、遺影を前にして吹いた。もう二度と会えぬと思うと写真の夫がにじむ。
(2014.10.10 毎日新聞「はがき随筆」 掲載)岩国エッセイサロンより転載
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