ヌメヌメして黒っぽいひも状の生き物が地をはっている。
「うわー」。山で、足の血を吸われた嫌なヒルだ。
よく見ると、頭部がT字型をした、長さ10㌢ほどのヒルの傍らに、小さいヒルが寄り添うようにはっている。母と生まれたての赤ちゃんに違いない。
梅雨末期で、ヒルのいた小屋に雨水が浸入し始めていた。母は、ゆっくりゆっくり、子を振り返るようにはっている。
なんという優しさだろう。嫌な思いを変えさせた。住みやすいところに導く母ヒルの愛に、私は感激した。
出水市 小村 忍(64) 2007/8/19 毎日新聞鹿児島版掲載
「うわー」。山で、足の血を吸われた嫌なヒルだ。
よく見ると、頭部がT字型をした、長さ10㌢ほどのヒルの傍らに、小さいヒルが寄り添うようにはっている。母と生まれたての赤ちゃんに違いない。
梅雨末期で、ヒルのいた小屋に雨水が浸入し始めていた。母は、ゆっくりゆっくり、子を振り返るようにはっている。
なんという優しさだろう。嫌な思いを変えさせた。住みやすいところに導く母ヒルの愛に、私は感激した。
出水市 小村 忍(64) 2007/8/19 毎日新聞鹿児島版掲載