大みそか、正月の準備であたふたしているところに息子が帰ってきた。仏壇で拝んだ後はスマホに没頭。私は新聞の平山郁夫展の切り抜きを彼の前に置き、どうしようかなあと、つぶやいた。「今のうちに行きたいところに行った方がいいよ。連れて行こうか」と思いがけない言葉が返ってきた。私の胸は膨らんだ。しかし、息子は多忙で仕事を休めそうもない。その気持ちだけでうれしいと期待しないことにした。数日後、新幹線の往復料金が書留で届いた。正月、世話になったお礼だろうか、1人分なら割安との計算なのか。ともあれ言ってみるもんだ。
伊佐市 山室浩子 2013/2/10 毎日新聞鹿児島版掲載
伊佐市 山室浩子 2013/2/10 毎日新聞鹿児島版掲載