はがき随筆の7月度月間賞は次の皆さんです。
【優秀賞】25日「母の日記帖」一木法明(79)=志布志市志布志町
【佳作】10日「祝辞」道田道範(65)=出水市緑町
【佳作】29日「ブロック塀」高橋宏明(71)=日置市伊集院町
「母の日記帖」 「徒然草」のなかに、ひとり反古紙などを整理していると、昔の人の手紙が見つかり、読んでいると、その人とまるで向き合っているような気分になるものだという一節があります。ここでは亡き母の日記帖を読んでみたばかりに、かえって処分できなくなったという、母と子との間の、親密でもあり微妙でもある心理が卓見に描かれています。
「祝辞」 全編結婚式の祝辞からなっています。それが、人生を誠実に生きようといている青年と、それを見守る医師のあたたかさとを表し、感動的です。親孝行の青年の面影も彷彿としますが、祝辞の形でいっぺんを構成した技法にも感心しました。読んであたたかく優しい気持ちにしてくれる一遍です。
「ブロック塀」 二十数年前、ブロック塀の工事を頼んだら、小4の女の子と小2の男の子がブロックを運んで、父親の仕事を手伝っていた。その塀は今でも丈夫だという内容です。子どものときから、労働の意味を身につけていく親子の関係に、考えさせられるものがあったようですが、どうしても現在の子どもたちと比べてみたくなります。
この他3編を紹介します。
宮路量温さんの「紙風船」は、捜し物をしていたら紙風船が見つかった。子どものとき弟と遊び、最後には両手で破裂させ、母親にもったいないと叱られた。今同じ事をやってみた、しかし母はもういない。追憶がある情緒を醸し出しています。
門倉キヨ子さんの「うれしい雨」は、梅雨時になると、網戸を外に出し、雨に洗ってもらう。この年中行事が鬱陶しい梅雨時のむしろたのしみである。生活の知恵ですね。
竹之内美知子さんの「砂に埋もれて」は、元気なつもりで、指宿の砂蒸し温泉に行ったら、砂は重いし熱いし、脱出(?)したが、足はふらつくし鼓動は乱れるし、とんだ年寄りの冷や水でした。
李恵隣さんの「私は留学生」は、この欄を担当して初めての外国人の投稿です。頑張って下さい。
(鹿児島大学名誉教授 石田忠彦)
【優秀賞】25日「母の日記帖」一木法明(79)=志布志市志布志町
【佳作】10日「祝辞」道田道範(65)=出水市緑町
【佳作】29日「ブロック塀」高橋宏明(71)=日置市伊集院町
「母の日記帖」 「徒然草」のなかに、ひとり反古紙などを整理していると、昔の人の手紙が見つかり、読んでいると、その人とまるで向き合っているような気分になるものだという一節があります。ここでは亡き母の日記帖を読んでみたばかりに、かえって処分できなくなったという、母と子との間の、親密でもあり微妙でもある心理が卓見に描かれています。
「祝辞」 全編結婚式の祝辞からなっています。それが、人生を誠実に生きようといている青年と、それを見守る医師のあたたかさとを表し、感動的です。親孝行の青年の面影も彷彿としますが、祝辞の形でいっぺんを構成した技法にも感心しました。読んであたたかく優しい気持ちにしてくれる一遍です。
「ブロック塀」 二十数年前、ブロック塀の工事を頼んだら、小4の女の子と小2の男の子がブロックを運んで、父親の仕事を手伝っていた。その塀は今でも丈夫だという内容です。子どものときから、労働の意味を身につけていく親子の関係に、考えさせられるものがあったようですが、どうしても現在の子どもたちと比べてみたくなります。
この他3編を紹介します。
宮路量温さんの「紙風船」は、捜し物をしていたら紙風船が見つかった。子どものとき弟と遊び、最後には両手で破裂させ、母親にもったいないと叱られた。今同じ事をやってみた、しかし母はもういない。追憶がある情緒を醸し出しています。
門倉キヨ子さんの「うれしい雨」は、梅雨時になると、網戸を外に出し、雨に洗ってもらう。この年中行事が鬱陶しい梅雨時のむしろたのしみである。生活の知恵ですね。
竹之内美知子さんの「砂に埋もれて」は、元気なつもりで、指宿の砂蒸し温泉に行ったら、砂は重いし熱いし、脱出(?)したが、足はふらつくし鼓動は乱れるし、とんだ年寄りの冷や水でした。
李恵隣さんの「私は留学生」は、この欄を担当して初めての外国人の投稿です。頑張って下さい。
(鹿児島大学名誉教授 石田忠彦)