風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

地獄と極楽の警部補 559号

2009年06月04日 15時27分33秒 | 随想
女王蜂の奴隷の働蜂、御者の鞭に怯えて懸命に働いた馬車馬だった65歳を迎えた退屈と戦う老人は、図書館に足が向くのである。遠くの巨大なリブラなる最新鋭の施設を敬遠し、自宅に近い、岡崎市シビックセンターの公共施設にハローワークや税務署と同居している。

「警視庁捜査一課刑事」なる文字が目に入り、手にとって見てみる。飯田裕久なる高卒の無名の刑事が25年間の警察官人生をつづった自伝である。

何か偉大な存在の指示で死を避けられない、宿命の人間の一人。万人が通過する過程。天寿を全うするのは幸せである。

苦しい人生を懸命に生きる仲間と思う人間に、人間が生命を絶たれる事は許されず、正義に反するのである。死人は無念を言葉にすることが出来ないのである。その無念を晴らす警視庁捜査一課刑事は最後の砦、警察官の精鋭部隊で胸に赤バッチが光っている。家庭を忘れ、正義に滅私奉公、己を忘れ正義に尽くす。

「ゴンゾウ」とは、警察用語で能力や経験があるのに働かない警察官の隠語で、英語のGONZOは風変わりな・愚か者の意味である。

有名大学を優秀な成績で卒業、国家試験に合格し、警察官に採用されると警部補でキャリアと言われ、危険な捜査は免除され、財を成すことができるが、人の心の喜怒哀楽を心底理解することは不可能である。唯物論の権化だからである。

勉強に明け暮れた末の25歳の警部補、家族を犠牲にし力を消耗し人生の黄昏の退職時の警部補。同じ警部補なのだろうか。地獄を知らない人間には極楽は見えない。

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