旅が趣味で現役を引退した還暦から旅の終わりは次の旅の始まり、西に東に頻繁に彷徨った。古希を過ぎてからは旅の終わりはしばしの休憩が必須で、気力体力の衰えを感じる。
昔は旅の道標は神社仏閣が多く、墨書朱印を収集する趣味が生じた。
最近は名所旧跡を巡ることが多くなったのは、高齢が故に一人旅が諸般の事情で不可能なので同伴者の意向が色濃く反映される為である。
松本城を再度訪れ、1枚なら300円、2枚なら500円なる墨書朱印を見つけたので頂戴した。
神社仏閣では格安になる話はない。子細に点検すると、墨書朱印は印刷、日時が手書きで墨書されるが、劣悪な漢数字で洋数字を書き慣れた人なのだろう。
墨書朱印の発祥は寺に参拝し金品を奉納したお礼に何か差し上げようとする住職は、一切は空なので何も無い、 苦肉の策が精神修養の墨書であり、寺宝の印だった。
明快な対価表示は方便で、値引きはあってはならない行為で、許されない。
入場料を徴収して、寺の知的財産権を侵害して販売する国宝城は墨書朱印の収益を国庫に納めるのが筋と思うのであるが、経済優先社会では異端視される。