「新・東洋医学概論」の教科書での授業を受けた。大陸人の作文と本来の古典との区別の必要性痛感した。
本日の授業。「新・東洋医学概論」の教科書での「肝」の生理としての「蔵血」と「疏泄」についての、前回のほとんどの学生がわからないままに終わった部分の説明から始まった。
端的には、肝を実体と機能の陰陽に分け、陽としての機能にも陰陽があり、それが「蔵血」と「疏泄」という二つの機能である。そして「蔵血」と「疏泄」はコインの裏表の様な直接の関係にあるものではなく、しっかりと肝の独立した二つの機能としてある。という説明であった。これは、「新・東洋医学概論」の「肝」を説いている部分としては、また、その説明をその説明として聞く分には、特に異存はない。
しかし、である。そのことに関して、黄帝内経まで遡って考えたり、「旧・東洋医学概論」の「肝」の項の説明を読んだりすると、少し違うのではと思える。例えば、「旧・東洋医学概論」の教科書では、「肝」の機能は「蔵血」であり、その機能の亢進と抑制によって、肝に血を集めたり、全身に血(と気)を巡らせたりするという陰陽があり、最後に「中国医学では」との但し書き付きで、「疏泄」を五行の肝=木の性質の曲直からの連想で、後の時代になって言い出したものであると紹介するにとどまっている。
また、この件に関しては、黄帝内経を研究している同僚の鍼灸師氏から、「疏泄」というのは、黄帝内経では僅かに一回しか記述の無い言葉である。おそらく、黄帝内経成立当時は「肝には、そんな働きもある。」という程度の認識であったのを、後の時代に付け加えられ、いつの間にか、「蔵血」を差し置いて、まず「疏泄」になっていったのではないか。とのコメントをもらっている。
要するに、「新・東洋医学概論」は、原点・原典としてある「黄帝内経」と後の時代に陰陽論や五行論等のつじつま合わせのための作文とが、ごっちゃになっているところにその難しさがあるのではと考える。もっとも、のちの作文であっても事実があっての付け加えであるならば良いし、逆に「黄帝内経」であっても、作文の部分があるということなのだが・・・・・・。
そういう意味では、正確に言えば、しっかりと事実と事実の解釈をして読むべし!ということになるのであろう。そのための必須のものとして、原典としての黄帝内経の学びと自身の医療実践が不可欠であろうし、認識論、弁証法、生命の歴史等々の学びもまた必要ではと思える。引き続き考えて行かなければならない問題と思える。
本日の授業。「新・東洋医学概論」の教科書での「肝」の生理としての「蔵血」と「疏泄」についての、前回のほとんどの学生がわからないままに終わった部分の説明から始まった。
端的には、肝を実体と機能の陰陽に分け、陽としての機能にも陰陽があり、それが「蔵血」と「疏泄」という二つの機能である。そして「蔵血」と「疏泄」はコインの裏表の様な直接の関係にあるものではなく、しっかりと肝の独立した二つの機能としてある。という説明であった。これは、「新・東洋医学概論」の「肝」を説いている部分としては、また、その説明をその説明として聞く分には、特に異存はない。
しかし、である。そのことに関して、黄帝内経まで遡って考えたり、「旧・東洋医学概論」の「肝」の項の説明を読んだりすると、少し違うのではと思える。例えば、「旧・東洋医学概論」の教科書では、「肝」の機能は「蔵血」であり、その機能の亢進と抑制によって、肝に血を集めたり、全身に血(と気)を巡らせたりするという陰陽があり、最後に「中国医学では」との但し書き付きで、「疏泄」を五行の肝=木の性質の曲直からの連想で、後の時代になって言い出したものであると紹介するにとどまっている。
また、この件に関しては、黄帝内経を研究している同僚の鍼灸師氏から、「疏泄」というのは、黄帝内経では僅かに一回しか記述の無い言葉である。おそらく、黄帝内経成立当時は「肝には、そんな働きもある。」という程度の認識であったのを、後の時代に付け加えられ、いつの間にか、「蔵血」を差し置いて、まず「疏泄」になっていったのではないか。とのコメントをもらっている。
要するに、「新・東洋医学概論」は、原点・原典としてある「黄帝内経」と後の時代に陰陽論や五行論等のつじつま合わせのための作文とが、ごっちゃになっているところにその難しさがあるのではと考える。もっとも、のちの作文であっても事実があっての付け加えであるならば良いし、逆に「黄帝内経」であっても、作文の部分があるということなのだが・・・・・・。
そういう意味では、正確に言えば、しっかりと事実と事実の解釈をして読むべし!ということになるのであろう。そのための必須のものとして、原典としての黄帝内経の学びと自身の医療実践が不可欠であろうし、認識論、弁証法、生命の歴史等々の学びもまた必要ではと思える。引き続き考えて行かなければならない問題と思える。