やまめの庭つくり

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土地の声を聞く

2011-02-07 | 造園
先日,RHSJコンテナガーデニング協会主催の専門講座を聞く機会がありました.

その中で,ガーデンデザイナーの白井温紀先生のお話があり,印象に残った言葉が一つあります.

白井先生自身がイギリスで勉強していたときに学校の先生に言われた言葉だそうで,

genius of the places  このようなフレーズを使われたそうです.

その土地の神様の声を聞く気がないものはデザインなど出来ないよ・・・

そんな意味だったそうです.

その言葉を聞いたとき,年末に見に行った建築家のドミニク・ペローが語っていたことを思い出しました.

抽象的な表現でしか紹介できなくて申し訳ないのですが,土地のことに関して言ってたことを抜粋すると,

「大地への意識,地理的・歴史的関係性を導入する.住んでいるのだから.

小さな建築行為⇔取り巻く環境との共鳴がある.

オブジェクトは密度,実体にすぎない.ヴォイド→公共空間が大切,万人に感じられる.

歴史を再発見,再解釈し,文化や知識を再評価する.」

そして,やまめの師匠も今まさに歴史的建築物と緑の共生について考える立場ですが,グーーーーーッと歴史をさかのぼって周辺の地形,植生,歴史の変遷,暮らしていた人々とその土地の関わりなど広範囲で調査し,理解を深めています.

庭は人間が住んでいる環境の中の一つです.

その土地がどんな歴史を持っていて,人がどう関わってきたか.実体を調査し,想像をふくらませ,住む人や利用する人たちのことを夢想することでデザインが生まれてくるようです.

土地の声を聞く努力,「耳」と「目」を持たなければよいデザインは出来ないと言うことですね.



ちなみに白井先生は大変な勉強家で真摯に対象の土地に向かい合う方のように見えました.

そんな先生に講義の後,先生が土地のことについて調べる場合,どんな資料や本を用いるのか聞いてみました.

「その土地の風土紀が参考になりますよ」と即答.

これがイチオシのおすすめ資料のようです.

それと,宮脇昭氏著の植生に関する本や,結城登美雄氏著 「地元学」に関する本 農文協刊 現代農業増刊号は大変勉強になると教えてくださいました.

地元学,ってどんなものなんだろう.

調べてみようと思います.



庭のデザインは単にその土地のデザインだけでなく,デザイナー自身の価値観や人生観などの思想が反映されるようです.

やまめの場合はまだまだ何がどうと人に語れるものはありませんが,師匠という指標はありますので,いつか何かしら感得できるんじゃないかな,そうなるといいな・・・

そんな焦る気持ちと楽観と半々に持っています.



余談ですが,白井先生が最後におっしゃっていたのは,

庭の出来は,半分は施主の人柄の実力にかかっているということです.

実力のあるデザイナーの力を引き出すのは施主の人柄だそうで.

確かに施主の方からもらうパワーは大切な気がします.

そして庭の仕上がりを見て喜んでくれたときの笑顔も・・・・kirakira2