やまめの庭つくり

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椿山荘庭園を歩く

2012-06-11 | 庭園見学
昨日の日本庭園学会のシンポジウムに出席する前,午前中は去年の震災によって破損していた般若寺の灯篭が半年かけて修復され,新たに三重塔のとなりに設置されたので,見学に行きました.

フォーシーズンズホテル4階から眺める三重塔.その向こうには,昔,早稲田の気持ちの良い田園風景が広がっていたのでしょう・・・

三重塔の向かって左側に般若寺形灯篭(本歌・鎌倉時代後期)が据えられました.ちなみに灯篭はすべて山縣公の死後,庭園を引き継いだ藤田平太郎氏以降の方によって導入されたのだそうです.知りませんでした・・・

皆さんに説明する師匠.パッと見てもどこが修復されたのかわかりにくく,指摘されてみると,なるほど・・・と納得する京都の石工職人技.
灯篭の重量は相当なものなので,沈み込まないように地下にはマツの杭が埋め込まれたそうです.昔ながらの造園の知恵なんですね.


角に石を貼り,掘り直しています.

立派な笠も,震災の時に下から突き上げるような揺れのために落ちてしまったとのこと.割れてしまったそうですが,よぉく見ないとわからないくらいです.


冠木門の近くの無茶庵の前にある蹲踞に水琴屈を設置したそうです.
ひしゃくで水を流してみるとコーーーン,コーーーンと,よく響く音がyellow11

5日前に完成したばかりでまだ一般公開されていないそうですが,そのうち,看板などを立て,公開されるということです.



ご神木の樫の木は,今まで見た中で一番元気がありそうに見えました.



ずっと弱っていて養生中・・・といった感じだったのですが,足元にはタマリュウ(?)がびっしりと植えられ,神々しい空気に包まれているかのようでした.



ご神木とともに山縣公の時代から引き継がれている,古香井(ここうせい)down



未だにここの水は湧水として,豊かに流れ出てきているのだそうです.

十三層塔は,別の場所にあったものを地震による倒壊の危険性を考えて井戸の後ろに移設されてきました.


伊藤若冲が下絵を描いたという五百羅漢が並ぶ園路の分岐にある庚申塔.

昔は野道だったそうで,江戸時代(1669年)に作られ,ずっとここにあったそうです.

うっそうとした谷戸の風景の中を一本の道が通っていたんでしょうね.

不思議な時間の流れを感じます.



この立派な庚申塔の横には小さな石像が.



四方に仏像のようなものが彫られていたように見えます.



人の営みと思い,自然,時の流れ,色々なものが重なって「庭の歴史」になっているんだなぁ・・・・

椿山荘庭園に対して,今までより一層深く知ることができてよかったと思いました.