枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

芝居小屋への熱い思い、山鹿、八千代座

2014-12-19 | 古いもの、昔の人
          明治時代の終り頃、熊本県山鹿は菊池川の水運と豊前街道による水陸交通の
          要所で、温泉場としても賑わっていたといいます。
          山鹿と言えば、金銀の紙で作られた山鹿燈籠を、女性達が頭の載せて踊る、
          あの燈籠祭りが有名であるかもしれません。
          この街の旦那衆が組合をつくり、明治43年(1910)に建てたのが芝居小屋
          「八千代座」でした。明治、大正、昭和を通じて、歌舞伎、浪花節、活動写真、
          コンサートなどにに利用されてきました。昭和前期の出演者には、松本幸四郎、
          長谷川一夫、辻久子、谷桃子、淡谷のり子の名も見られます。
          昭和30年代以降の、人々の娯楽嗜好の変遷により昭和48年に閉鎖。
          建物の老朽化も進むなか、それを惜しむ人々により昭和61年復興運動が起こります。
          昭和63年に国重文指定の後押し、平成8年の大修理を経て、平成13年に竣工式、
          再出発を果たし現在に至っているのです。

          1階は木の棒で仕切られた枡席と桟敷席、2階は桟敷席よりなり、建設当時の
          定員は1階830人、2階444人。(当時の人は小さかった・・枡席1区画に8人。)
          現在は約650人を収容します。
          ドイツ製の車輪で動く回り舞台とセリ、花道にはスッポンを備えています。
          天井全体を占める広告画には驚かされます。旦那衆が組合をつくって建設した証。
          建設当時の広告が復元されています。その中央には復元された真鍮のシャンデリア。

          台湾(中華民国)からの団体が、舞台に並んで日本の歌を唄い写真に収まっていました。
          九州に残る古い芝居小屋。私にとっては9月の飯塚、嘉穂劇場に次ぐ2つ目の訪問。
          雄弁な解説に耳を傾け、天井いっぱいの広告を見上げ、芝居小屋への熱い思い
          を感じたものでした・・