かれんちゃんの[ママとパパに会いたくなっちゃった」の一言で、私は一瞬、不安に陥りました。
かれんちゃんは、単純に大喜びしているわけではなさそうです。
そういえば.、思い当たることがありました。
おうちにいる時も、似たような事を言ったからです。
わたしとの動物園行きが決定したときも、「ママも一緒に行こうよ」と誘ったかれんちゃんでした。
かれんちゃんは、もしかすると、他の孫たちが幼い時のように、私にまだ完全にはなついていないのかもしれません。
その距離は、一時期より、急速に縮まってはいますが。
この子が誕生したとき、私は癌を患う夫への気遣いと介護に追われる日々でした。
孫の相手をする時間はあまり持てませんでしたから。
幼い時の親密な接触は、絶対的信頼を築く土台になるのかもしれません。
他の孫たちと違って、その点が心もとない私とかれんちゃんの間柄です。
キリンさんを背景に
ですから、私との二人きりのお出かけに、心細さを覚えるのは仕方ないことなのかもしれませんね。
園内にいる時にかれんちゃんが口にした意外な言葉に、バアバの胸は一瞬、キュンとなったことが他にもあったのですよ。
後になって振り返ると、他愛のない笑い話のような事なのですが。
このお話は、後半で致しますね。
到着時、とても静かで、人影がほとんどみられなかった動物園も、次第に行き交う人たちに時々出会うようにになりました。
それと共に、かれんちゃんの気持ちも落ち着いていったようです。
バアバは、まずは一安心。
その後は二人で、楽しいおしゃべりを交わしながらの園内巡り。
入場し、バスで最初に向かったのは、正門からだと一番奥にある、名称「アフリカの熱帯雨林」と「アフリカのサバンナ」。
サバンナでは、名の通り、アフリカ草原をイメージできるような広々としたエリアに、子供たちにも人気の高い動物がたくさんいました。
キリン、シマウマ、サイ、トラ、ライオン等々。
都内にある上野動物園などとは異なり、広大な敷地のズーラシア動物園ゆえ、サバンナエリアは、まるでアフリカの草原と変わらない雰囲気。
かれんちゃんに、私は言いました。
「とてもいい雰囲気ね~」と。
大きな樹木の下でキリンやシマウマ、サイなどの動物たちが、昼下がりのひと時を仲良くのんびりと過ごしているかのように見えたからです。
そののどかで平和な光景は、アフリカの草原そのもののように感じられました。
子供の反応って、意外感があり、興味深く、実に新鮮です。
「ママ、パパに会いたくたくなっちゃった」も、そうですが。
実は「雰囲気」の言葉が、かれんちゃんの心を強く捉えたようです。
その後、幾度もこの言葉をかみしめるかのように、繰り返し言いました。。
「さっきはいい雰囲気だったね、ばあば」と。
ところが、この言葉を違う話で突然持ち出したときには、バアバは、また一瞬ショックを受けてしまって。(笑)
このお話は、前述したように後半でご紹介します。
アフリカサバンナで一番印象に残ったのは、やはりライオンでしょうか。
目前で見られたせいかもしれませんが、「百獣の王」と言われるだけの事はあると、改めて思いました。
顔つき、毛並み、風格、威厳のある佇まい、すべてがひときわ優れている感じでした。
孫と二人で見入って、私は感服してしまいました。
アフリカ熱帯雨林とアフリカのサバンナエリアを観終わってから一休み。
ママが書き留めてくれた地図で指定されているレストランで、昼食を取りました。、
熱中症にならないように、水分補給は気を遣っての散策でしたが、ここでも飲み物やカキ氷で、元気復活。
仮眠も、十分足らずですが取ることができました。
束の間でも眠れてよかった。
体力復活に、絶大なる効果がありますから。
無防備な私。かれんちゃん撮影。
二人で見て大笑いでした。
元気復活した私
かれんちゃん撮影
このあと園内バスに乗り向かったのが、アマゾンの密林と日本の山里エリア。
不思議なもので、私は日本の山里エリアに入ると、気持ちがとてもリラックスして、落ち着きました。
動物たちも、良く見聞きするいきものばかりだからでしょうか。
雨に洗われた日本的な林の滴るような緑の木漏れ日にもなんだか、他の林以上に感激。
見た動物は、コウノトリ、マナヅル、ヤマネコ、二ホンアナグマ等々でした。
目的は動物の見学でしたが、かれんちゃんが一番喜んだのは、途中にあった広場のプレイパークの乗り物。
駆けまわって、すべての乗り物に挑み、楽しんでいました。
元気いっぱいの姿に、目を細めて見入るばあばでしたが。
余りに駆け回るスピードが速いため、一瞬姿を見失うこともあり、緊張しましたけれどね。
夕暮れが次第に近づいてきました。
できることなら正門から程遠くないところにある、アジアの熱帯林エリアに行き、象さんを見て帰りたいところ。
ところが帰り道がよくわかりません。
勘でもって適当に歩いていれば、園内バスの乗り場に行き着くでしょう。
そう思った私は、自信はないままでしたが、かれんちゃんとまた木漏れ日の美しい林の中を歩き続けました。
途中、動物もいろいろ見ながら。
随分歩いたようです。
途中に、二か所ほどバス停もありましたが、すでに最終バスは通り過ぎた後。
乗り場は閉じられていました。
正門まで歩くしかなくなってしまった私達。
勘を頼りに、またてくてく、てくてく。
かれんちゃんは、弱音一つはかず、頑張りました。
ところが何としたことでしょう。
かれんちゃんがとても喜んだプレーパークのところに、また戻ってしまったのです。
でもその後、人に尋ね、またてくてく歩き、何とか正門前に戻ることができました。
私は歩くのがもうやっとと言っていいほどへとへとに疲れていましたが、かれんちゃんのために、象さんを今日の動物園の有終の美にしたかった私。
けれど象さんのいる、アジア熱帯雨林は正門の近くとはいえ、おそらくまた広い敷地でしょう。
ぞうさんにたどり着くには、時間がかかりそう。
半ば諦めていた私ですが、動物園の係員らしき人に尋ねると、「すぐそこですよ」との返事。
意外なお返事が嬉しくて、元気復活で心弾む思いに。
期待通りの大きな象さんに、最後に巡り会えた私達。
目が優しいゆったりした象さんの動作を見ていると、それまでの疲れが癒されるよう。
かれんちゃんも大満足している様子でした。
でもかれんちゃんは、私との動物園行きを、心から愉しんでくれたでしょうか。
「楽しかった?」と時々尋ねると、バアバの質問への反応が、今一つ。
園内を歩いている時、かれんちゃんが突然言いました。
「ママやパパ、ニイニにと動物園に行くといい雰囲気なんだあ~」
私の胸はまたキュウン~、となりました。
精一杯頑張っているつもりのバアバだけれど、いい雰囲気ではないのかしら?、とひがみ心がちょっぴり頭をもたげた一瞬でした。(笑)
でも帰宅して、思い出しました。
かれんちゃんの心をとらえた私の言葉「雰囲気」の事を。
この言葉の適切な使用に、心から感心した私です。(笑)
いくら対抗しても(笑)、家族にかなうはずがありませんものね。
率直なかれんちゃんの子供らしい表現も、後になれば、愛おしい。
かれんちゃんは、きっと喜んでくれたに違いない、と思うことにします。
心配したお天気にも恵まれ、偶然の事でしたが、最終バス5分前に、駅行きのバス停に到着でした。
この幸運は、もしかすると夫が見守っていてくれたお蔭かしら。
園内で、そんなことを感じさせる印象的な出来事もありました。
明日、そのお話ができるといいのですが、この週末は長女宅の孫娘のイベントがまたあり、忙しいため、数日お休みを取らせていただくかもしれません。
皆様も、明日からの週末をお楽しみくださいね。
ご訪問、温かな応援、本当に有難うございます。
花のように泉のように