高校時代、英語の教師にKという50台も半ばの先生がいた。教頭、校長コースを歩
まず、生涯一教師、駄洒落の好きな方だった。演劇部の顧問をしておられ、授業中
には「シェークスピアの四大悲劇は?」という問題も出題された。「シェークスピ
アは作品で何人も殺しているので、ヒトゴロシのイロイロだ」という話も懐かし
い。(シェークスピアの生没年は、1564~1616年である。)
何年か前、1カ月ほど治療入院した私は、暇にあかせて病院図書室の本をよく読ん
だ。そこにシェークスピアの新潮文庫が何冊かあり、初めて読んだ。おもしろかっ
た。難しいことはひとつもなかった。
夏至も近づく6月のある日、新国立劇場に喜劇「夏の夜の夢」(松岡和子翻訳)を
観た。16世紀のエンターテイメントである。演出はジョン・ケアード。
<キャスト>
・シーシアス(アテネの公爵)/オーベロン(妖精の王)
村井国男
・ヒポリタ(アマゾンの女王、シーシアスの婚約者)
麻実れい
・イジーアス(ハーミアの父)
大島宇三郎
・ハーミア(イジーアスの娘、ライサンダーを恋する乙女)
宮 菜穂子
・ヘレナ(デミートリアスを恋する乙女)
小山萌子
・ライサンダー(ハーミアを恋する若者)
細見大輔
・デミートリアス(ハーミアを恋する若者)
石母田史朗
・パック、またはロビン・グッドフェロー
チョウソンハ
他
<シノプシス>(プログラムより)
アテネの公爵シーシアスとアマゾンの女王ヒポリタの結婚式を4日後に控えたあ
る夜。家臣イジーアスの娘ハーミアは親が望むディミートリアスとの結婚を拒絶
し、相愛のライサンダーと共に妖精の住む森へと駆け落ちを決行する。ハーミア
を追いかけるディミートリアスと、彼に片想いするヘレナは2人の後を追う。
同じ晩、公爵の結婚式の余興に指名された大工のクウィンクスは、町中から5人
の職人たちを集め、御前でやる芝居の稽古を森ですることにする。
一方、妖精が支配するアテネ近郊の森では、妖精の王オーベロンと女王ティター
ニアが小姓をめぐり喧嘩の真っ最中。そこにいたずら好きの妖精パックが登場
し、王の命令で「惚れ薬」を手に入れ、女王にいたずらを仕掛ける。さらに、森
にやってきた若者にパックが取り違えて「惚れ薬」を一滴。その結果、女王はロ
バの頭をした職人ボトムとの不思議な一夜を過ごす羽目に、そして若者たちは大
混乱・・・・・・。
主役の村井、麻実は無論うまかったが、みんなお芝居が好きで好きでたまらない
(「役者とナントカは3日やったらやめられない!」)という人たちの集まりであ
るかのようなステージだった。
脇役の恋人たちのほか、チョウソンハのパック、吉村直のボトム(機屋)が実にい
い味(!)を出していた。私が知らない、うまい役者が多いものである。会場は女
性が多く、クラシックの演奏会とはまた違った雰囲気だった。
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