人生ブンダバー

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びわ湖ホール声楽アンサンブル東京公演

2008-07-12 10:32:09 | 音楽
早いものでもう7月である。今年上半期の演奏会(といってもあくまで私が聴きに
行った範囲であるが。)ベスト3の中に「びわ湖ホール声楽アンサンブルの東京公
演-びわ湖から春のおくりもの」がある。
3月31日(月)午後7時開演、紀尾井ホール。

プログラムは、いずれも畑中良輔指揮、ピアノ岡本佐紀子、矢崎真理。
1.ブラームス「愛の歌」
2.田三郎「水のいのち」(朗読:塚田佳男)
3.平井康三郎「日本の笛」より
4.ドヴォルジャーク「ジプシーの旋律」(歌詞:ドイツ語)
5.石桁真礼生「河童譚」

久しぶりに「プロの合唱」を聴いた。畑中先生の学識あるお話もおもしろい。(例
えば、レントラーとは何か?ウィキペディアを読むより勉強になる。)
合唱の人数は各パート4人の、たった16人。しかし、一人ひとりがソリストになれ
る実力者ばかりである。

1.ドイツ語の発音がすばらしい(Wundabar)。男声、なかでもテノールの響きがい
い。全体として子音の切り方もキッチリそろっており、基礎がしっかりしているこ
とが分かる。(当然です、といわれそうである。)

2.前口上として畑中先生の「水のいのち」への想いがあった。畑中先生が宗教家に
見える。この曲は多くの合唱団によって歌われている。混声から始まって、女声、
男声にまで編曲された。「中級」などと表示されているが、実は、腹式呼吸、よく
通る響きなどの「技術」と「精神」(ヘルツ)のバランスが大変難しい。第1曲
「雨」は8分の6拍子、インテンポの中で「歌う」ことが難しい。下手をすると棒読
みになり、思い入れが強いとどんどん遅れるのである。当日の演奏、とくに感心し
たのはパートからパートへの受渡しのうまさである。日本語の、ほどほどの子音も
よかった。

3.「日本の笛」は北原白秋の詩である。北原白秋を聴くたびに国語の勉強不足を痛
感する。(もっと「国語」を勉強しておけばよかった!)「びいでびいで」はマル
カートを強調しない、畑中先生らしいレガートぎみであった。

4.原詩はチェコ語だがドイツ語訳で歌われた。上へ抜けるソプラノがなんともいえ
ない。有名な「わが母の教えたまいし歌」の味はいかばかりであろう。

5.ここでも畑中先生のお話がおもしろかった。先生がオペラでまだかけ出しの頃、
プリマドンナの長門美保さんは福岡県出身で気性が荒く、彼女が舞台袖に引っ込ん
できた途端、「おーい、水だ、水っ」と叫ぶ迫力に圧倒されたお話など声を上げて
笑ってしまった。(このあたりは「音楽の友」の連載エッセーにも載っている。)
声楽アンサンブルの一員、黒田恵美(ソプラノ)さんの美しい日本語に感心した。

終演は9:35。
年度末のあわただしい時期であったが、聴きに来てよかったという想いで帰路に着
いた。

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