10月7日(水)、東京文化会館小ホールの「小貫岩夫テノールリサイ
タル2015」を聴いた。
この日も休暇、家の近所で家内と夕食中、念のため、会場と開演時間
を最終確認したら、「18時30分開演」とあり、あわてて上野に向かう。
普通は19時開演?
小貫さんは、「北海道出身。同志社大学卒業後、大阪音楽大学卒業。
文化庁オペラ研修所第11期修了。二期会会員」として、現在大活躍中
である。
小貫さんのリサイタルは連続10年目になるという。私が小貫さんのリ
サイタルを聴くのは3回目かしらん--と調べたら4回目だった。そう
いえば、最初に聴いた時は、初めて上野で開催された年ではなかった
かしらん。
小貫さんには、(どちらかといえば)中高年の女性ファン(オッカケ?)
が多い。この日も多くの女性ファンで席が埋まっていた。
それにしても、10年連続で、しかも平成22(2010)年からは、大阪と
東京でリサイタルを開催するのは、「大変なこと」だ。プロだからできる
のか、そういう人だけがプロなのか、いやプロでもなかなかできないこ
となのか。
小貫さんのリサイタルには、毎年「テーマ」がある。今年は「わが想いを
歌に」。
<プログラム>
第1部
1.信時潔「沙羅」
2.山田耕筰「野口雨情民謡集」
第2部
1.デ・クレシェンツォ「つばめは古巣へ」
2.ルイージ・デンツァ「妖精の瞳」
3.デ・クルティス「とても君を愛している」
4.ジャコモ・マイヤベーヤ「おお、パラダイスよ」
5.フランツ・レハール「リンゴの花の冠を」
6.シャルル・グノー「ああ、太陽よ昇れ」
ピアノ;多田聡子
後援;公益財団法人東京二期会
大阪音楽大学<幸楽会>
以下、まことにつたない感想で恐縮ながら・・・・・・
第1部
1.信時潔「沙羅」
18:35会場が暗くなる。進行役の坂井美紀さんが登場。「今年のテー
マは『わが想いを歌に』です」と簡単な曲の紹介がある。小貫さんが
袴姿で登場--ワ~と静かな歓声があがる。
(1)丹沢;「(枯れ笹に陽は)流るる」とお歌いになり、ハッとする。
ここに限らず、一つひとつ言葉の発音にこだわった歌唱(「歌」である
以上、歌詩を読み、言葉にこだわるのは当然のようにも思うが、なか
なかそうは行かない)。(3)北秋の;「北秋の花」の弱声は、実声のよ
うな、ファルセットのような、まねのできない声・・・・・・
と書き出すときりがないのだが、一曲々々、随所に考えつくされた表現
が続いた。(6)行々子;前半で私の頭の中がウッとなった。(8)ゆめ;こ
の曲の前半で携帯電話の大きな「ピーピー」という音が鳴ったのはまこ
とに残念だったが、小貫さんは何事もなかったかのように集中した歌唱
だった。
(その昔、某ソプラノが歌い終わった途端、「歌っている時に、(一番前
の席で)プログラムをめくらないでください」と「激怒」したことがあった)。
2.山田耕筰「野口雨情民謡集」
「歌は心」とはいうものの、山田耕筰の歌は高度な発声テクニックがな
いと歌えない。
(1)捨てた葱 「お天道さまを見て」にゾクゾクっとする。
(2)紅殻とんぼ ゆったりとした情感。
(3)二十三夜 楽譜が(--見たことはないが)難しそう。
(4)波浮の港 山田版「波浮の港」。リリコ・テノールがしみじみと心に
沁みる。私には(当然、絶対)歌えない。音大卒でもなかなかかしらん。
ブレスがすごい。
(5)粉屋念佛 多少ユーモアある曲を格調高く。
小貫さんの見事な、リリコと歌唱を聴かせていただいた。
--休憩--
リンゴジュース。ワグネルOBと歓談。
第2部
1.デ・クレシェンツォ「つばめは古巣へ」
中音も高音も生き生きと。アイマスクをして聴いたら、イタリア人では
ないかと。
小貫さんがマイクを取る。いつもながら、ライブでしか味わえない、
温かい、人柄あふれるお話が楽しい。--「前半は大曲に、といって
も量があるわけではないのですが、チャレンジしました。ぶっちゃけ、
少々反省点も(場内爆笑)。袴では、お~っと歓声を頂戴しましたが、
着物は東京だけでございます(大拍手)。しかし、なぜかタキシード
やイタリア物の方がホッとします(笑)」
「次は、つばめは帰ってくるのに、愛は飛んで行ってしまうという悲
しい歌です。ま、イタリアの歌は、悲しいか嬉しいかしかないんです
が(笑)」。以前書いたかもしれないが、落語の「間」も研究なさってい
るのではないかしらん。
2.ルイージ・デンツァ「妖精の瞳」
ピアノ伴奏とも息がぴったり、情感あふれる歌がすばらしかった。
(坂井さん)「貴女ほど愛しい人はこの世に誰もいない--どうですか
?言われたことありますか?私はありません(爆笑)」
3.デ・クルティス「とても君を愛している」
小貫さんは、くだけた雰囲気でゆっくり登場。最後は大きく張り上げ、
拍手喝采状態。
4.ジャコモ・マイヤベーヤ「おお、パラダイスよ」
ここでも、簡単に言うと、見事な、プロの発声!ここぞという高音で張
ってくれた。Bravo!
5.フランツ・レハール「リンゴの花の冠を」二つの世界大戦間に作曲さ
れた、オペレッタ『微笑みの国』より。独語。
6.シャルル・グノー「ああ、太陽よ昇れ」『ロミオとジュリエット』より。
仏語。高音で伸ばし、大拍手。
小貫さんは、上手、下手(ゆっくり手を振る)、中央に最敬礼(ステー
ジマナーにもお人柄)。拍手が続く。
アンコール
・「花は咲く」(岩井俊二/菅野よう子) 「CDも発売しました」
・「シャボン玉」(野口雨情/中山晋平)
○「恒例になりつつありますが、坂井さんとデュエットで・・・・・・(拍手)」
・「Time to say Goodby」
・「オーソレミーオ」(カプッロ/カプア) 前奏が始まると大拍手だっ
た。
リサイタルは10年一区切りではなく、まだまだ続くという。来年が今か
ら楽しみだ。
プログラム
夕食を軽く
17:05 あざみ野
17:36 表参道
18:04 上野
18:07 パンダ橋へ
18:10
18:14 小ホールロビー
18:15 モニター画面より
20:39 上野
20:53 三越前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます