人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

第1回《ブル小屋》ごちゃまぜコンサート

2011-09-19 05:00:00 | 音楽

9月17日(土)午後、先週に引き続き、カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」に
足を運んだ。自宅より最寄駅に行く途中、ゲリラ雨に出会う。傘を持たずに出てき
たため、かなり濡れてしまった。やはり「東京アメッシュ」で確認すべきだった。あわ
てて駅の東急ストアで傘を買ったら、帰るまで一滴も降られなかった。

畑中良輔先生が89歳にして新しい企画--「ブル小屋」を立ち上げられた。「ブ
ル小屋」の小屋は歌舞伎小屋のそれだ。表参道を20分ほど散策の後、2時40分
に会場入りした。受付でプログラムと「ドリンク券」、「投票券」をいただく。

会場は前方が丸いテーブル席、後方が普通の客席だった。いつものように遠慮し
て、後方の目立たない席に座る。当日お手伝いなさった、ワグネルOB、Iさんが後
ろまで挨拶に来られ恐縮してしまう。

ワグネルの大先輩Hさんが前方丸テーブルから移ってこられたので「ご無沙汰し
ていますっ」とご挨拶。最近は誰とお会いしても「どうも、ご無沙汰です」だ。
Hさんによると、(Hさんは)『人生ブンダバー』というブログを知らなかったが、T先
生が『人生~』の東西四連記事を読まれ、「書いているのはワグネリアンのようだ
が、いったい何者ぞや?」と電話でいってこられたとのこと。赤面してしまう。「よか
ったら、これ行ってよ」と演奏会チケットを頂戴する。恐懼(きょうく)の限り。

ステージ向かって左最前列の丸テーブルに畑中、瀬山、平野先生方。お近くには
久邇、谷池先生もおられ、いわば「本部席」となっている。
私はノーネクタイにせめてものブレザー姿だったが、畑中先生は、お気に入りのア
クア色のネクタイをきちんとされていた。先生には「あなたたちはおしゃれというも
のを知らないから・・・」といわれそうだ。(父も母もオシャレだったのだが・・・。)

3時ちょうどに畑中先生のお話が始まった。
「え~、定刻になりましたので始めさせていただきます。座ったままで失礼します
ね。顔は見えないかな、聞こえますか?(ハ~イ。)ブル小屋を開設しました。いろ
いろなことをやっていきたい、できれば春、秋と年2回やりたいと思っています」。

<プログラム> 午後3時開演
Ⅰ まずは【明治時代】へタイムスリップ!
   泉鏡花の名作「外科室」 朗読 瀬山詠子・平野忠彦
Ⅱ お次はケンカになるか?仲良しになるか?
   フォーレ曲「ドリー」を・・・ドリャ聴いてみよう。 
    ピアノ連弾 谷池重紬子・ 久邇之宜
Ⅲ 《うたのお○いさん》童謡で昔に戻ろう
   歌 永遠の二枚目(自称!)中村 健 ピアノ 谷池重紬子
------------------こーひー・ぶれいく---------------------
Ⅳ ブルの『遠吠え』トーク
   不滅の名歌手うたくらべ・・・誰がNo.1?投票~!
    R.Straussの「黄昏の夢」をテーマに 
     テーマ紹介 玉川美栄 ピアノ 久邇之宜
Ⅴ 抒情的なR.Straussから一転《情熱の国》へ・・・
   いたりあん・めろでぃーの花束
     プレゼンテーター 片岡啓子 ピアノ 久邇之宜
  1.ああ、愛する人の(ドナウディ作曲)
  2.優しい、いとしい人よ(ドナウディ作曲)
  3.薔薇(トスティ作曲)
  4.永遠に(マスケローニ作曲)
Ⅵ お腹がすいたら《すしや》へ行こう!
   志賀直哉の名品「小僧の神様」 朗読 長野羊奈子
Ⅶ みんなで歌って踊って・・・おしまい!


Ⅰ まずは【明治時代】へタイムスリップ!
   泉鏡花の名作「外科室」 朗読 瀬山詠子・平野忠彦
(畑中先生)「(私は)泉鏡花は大衆小説のように思っていましたが、歳とともにだん
だん考えが変わってきまして、いま鏡花全集全34巻にはまっています。(朗読は)
少し長めですが、楽に聴いてください」。

藤色の洋服の瀬山さん、白いブレザー平野さんがステージ中央に着席。瀬山さん
から朗読がスタート。朗読といえば、たしか三島由紀夫没後45年の年に岸田今
日子による三島作品の朗読を生で聴き、ひきつけられたことを思い出す。瀬山さん
はソプラノながらやや低い声で読み進まれた。地の文は文語調--畑中先生いわ
ゆる明治調、シェイクスピアの朗読を聴いているようだ。平野さんはいかにもバス、
灰色の声で、緩急は瀬山さんより大きい。江戸落語の人情話を聴くかのようだ。
「劇的な緊張感」(畑中先生)の40分だった。(歌唱と朗読、どちらが難しいかしら
ん。)


Ⅱ お次はケンカになるか?仲良しになるか?
   フォーレ曲「ドリー」を・・・ドリャ聴いてみよう。 
    ピアノ連弾 谷池重紬子・ 久邇之宜
最初に畑中先生からフォーレとバルダック、ドリー、そしてドビュッシー、「子供の領
分」の「ややこしい」お話--詳しい解説があり、「ドリー」組曲(6曲)から4曲が演
奏された。
久邇さんが低音部、谷池さんが高音部を受け持たれた。思い入れたっぷりというも
のではなく、それでいてリタルダンドなど文字通り呼吸の合った演奏だった。3曲目
は明るい朝に森がきらきら光るような音楽だった。4曲目は激しいフォルテのAllegro
ながらフランス的な音。フォルテから一瞬だけピアノになる部分は息がピッタリです
ばらしかった。


Ⅲ 《うたのお○いさん》童謡で昔に戻ろう
   歌 永遠の二枚目(自称!)中村 健 ピアノ 谷池重紬子
(中村さん)「プログラムにはジショウ二枚目とありますが、タショウ三枚目です」。
大中恩作品から「犬のおまわりさん」、「さっちゃん」、「お腹がへる歌」、「早口言
葉の歌」が披露された。いずれもすっかりご自分のものにされているレパートリ
ー。スマートなしぐさがすばらしい。中村さんはデビュー50周年を過ぎ、喜寿は
超えられたかしらん。この10年歳をとられない不思議な方。聴くうちに「青春と
は心の若さである」という言葉を思い出した。

------------------こーひー・ぶれいく---------------------

「こーひー・ぶれいく」でホットをいただく。好みの味だった。ワグネルOB、Mさん、S
さんと談笑。ここでも「ご無沙汰しています」。

休憩後、中村さんの息子さん、ストリートミュージシャン健佐さんの紹介が畑中先生
からあった。本田技研のエリートから一匹狼のストリートミュージシャンへ。CDは5
万枚を記録されたという。1枚2,000円として、売り上げは・・・。
(このブログでもご紹介したことがある。)


Ⅳ ブルの『遠吠え』トーク
   不滅の名歌手うたくらべ・・・誰がNo.1?投票~!
    R.Straussの「黄昏の夢」をテーマに 
     テーマ紹介 玉川美栄 ピアノ 久邇之宜
畑中先生による曲の解説--"ein blaues, mildes Licht"というドイツ語が飛び
出す。
最初に玉川さんに歌っていただいた。4小節聴いただけでR.シュトラウスの世界
に引き込まれる。
「とてもきれいな独語で歌っていただきました」(畑中先生)。
「今日は大変なプレッシャーでした」(玉川さん)。

続いて6人の「不滅の名歌手」(--名前は伏せて。)が歌う「黄昏の夢」。誰がう
まいというよりも、一番ハートに届く歌はどれか?を投票する趣向。(私もオフ会を
開きたくなった。)私の印象(録音ではやや分かりにくいが)は、1番はこなれた言
葉。2番強く硬い声。3番気持ち明るい声。ゆっくりとなる部分がいかにもこれはブ
ル先生。4番ややポルタメント。堂々とした声。5番これはすぐ分かる。明晰な独語。
リタルダンドも知性を失わない、フィッシャー=ディースカウ。6番たれぞ?リリック
でなかなかいい。(私は3番に投票した。)

投票結果は1位から順に、5番(フィーッシャー=ディースカウ)、1番(ディートリヒ・
ヘンシェル)、4番(シュルスヌス)、3番(畑中先生)、6番(スレザーク)、2番(タウ
バー)と名前も発表になった。「歌い方の変遷がわかりますネ」(畑中先生)。


Ⅴ 抒情的なR.Straussから一転《情熱の国》へ・・・
   いたりあん・めろでぃーの花束
     プレゼンテーター 片岡啓子 ピアノ 久邇之宜
  1.ああ、愛する人の(ドナウディ作曲)
  2.優しい、いとしい人よ(ドナウディ作曲)
  3.薔薇(トスティ作曲)
  4.永遠に(マスケローニ作曲)
がらっと変わって、イタリア語の歌。(片岡さん)「イタリアの歌を派手に、ということ
で4曲を選びましたが、愛が足りないのか、満たされているのか、みんな愛の歌に
なりました。午前中、いろいろありまして、どこまで集中できるか分かりませんが」。
上半身の力の抜けた大きな声と緩急。2曲目ではミューズが乗り移り、集中した。
4曲目では明るい太陽と地中海が私の目の前に現れ、大きく盛り上がって終わっ
た。


Ⅵ お腹がすいたら《すしや》へ行こう!
   志賀直哉の名品「小僧の神様」 朗読 長野羊奈子
(畑中先生)「最後は長野さんに締めていただきましょう。神様~」。長野さんは Iさ
んの付き添いで、杖を片手にゆっくりゆっくり登場。おもむろにメガネをかけ、朗読
に入った。長野さんも会話文がお上手。落ち着いた朗読だった。

「小僧の神様」は大正リベラリズム時代の作品だったかしらん。「声に出して読み
たい日本語」だ。芥川龍之介がうらやんだ志賀直哉の文章にあらためて感心し
た。朗読時間32分。「志賀直哉の文章には無駄がありませんね」(畑中先生)。


Ⅶ みんなで歌って踊って・・・おしまい!
最後は、畑中先生による、信時潔「野火」の歌唱と踊りの指導。「野火」を歌う前に、
みんなで立ってノビをする。歌ができたら、振付の指導。
「だめ、もっと声を大きく、勢いよくっ」
とできるまで指導いただいているうちにものすごく怖い先生を思い出し、必死に出
ない声を出した。
最後は平野さんがステージで生徒代表として卒業演奏となった。

終始座っておられるにかかわらず、畑中先生のお声は40年前と少しも変わらない、
よく響く、大きな声だった。いつものことながらお客様第一とは月並みな表現だが、
なんというか、お客様を喜ばせる気持ちがいっぱいのコンサートだった。堪能し、勉
強したブル小屋は6時にお開きとなった。

なお『音楽の友』連載中の「ブル先生の日々是好日~荻窪ラプソディー」が近刊と
なるようだ。(プログラムに載っていた。)
 


表参道交差点方面


アニヴェルセル レストラン 高いのカナ?


表参道のケヤキ並木 参道は明治神宮へ 
明治神宮ができたのは無論大正時代


カワイ表参道


開演前の会場


コーヒー・ブレイク中の会場
左前方のテーブルに先生方 立っておられるのは中村健さん、健佐さん親子
健佐さんの名付け親は畑中先生だそうだ

 
当日のプログラム



泉鏡花『外科室』(岩波文庫版)


中秋の名月
9月12日(月) 今年の陰暦「葉月」8月15日。中秋の名月だ。古文の世界かな?
古文の授業内容はボーっとしていて覚えていないか、覚えたが忘れてしまってい
るかのどちらかだ。

余談だが、昔古文の授業で、近松だったか、私は「女郎」を「メロウ」と読んで、先
生に「何っ?」と大声を出されたので「あ、すみません、ニョロウ」といい直したら大
笑いされたことがあった。無論意味も分からなかった。こんなことは覚えている。
(--以前、書いたかしらん。)



2011/9/12 18:29 撮影 肉眼では大きく見える


9/16(金) 夜9時のNHKニュースをなにげなく見ていたら、平成22年度の『文
部科学白書』冒頭に、気仙沼市階上(はしかみ)中学校卒業生代表梶原裕太さん
の答辞全文が掲載されたことを報じていた。当日の答辞の模様が映像として流さ
れた。
「しかし・・・苦境にあっても、天を恨まず、運命に耐え、助け合って生きていくこと
がこれからの私たちの使命です」 
私の目から大粒の涙があふれ出た。

毎日新聞→http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110823dde041010074000c.html


9月17日(土) 「ブル小屋」の後に、二子玉川RISEの文教堂で本を物色。J.C.
グルー『滞日十年』の文庫本(上巻)が出た(ちくま学芸文庫)。小西甚一『古文の
読解』(ちくま学芸文庫)--40年前の名参考書。加藤陽子『昭和天皇と戦争の
世紀』(講談社)などをチェックし、衝動買いを思いとどまる。



二子玉川の文教堂 本店は溝の口にある



9/18(日) 朝、暑くて早く起きる。今日も9月にあるまじき真夏日だ。TBS「時事
放談」は藤井さんと増田さん。冒頭の新聞記事--一瞬、私の写真かと思いき
や自民党谷垣さんだった。

バックのテンプレートを秋ヴァージョンに変更した。


「子供の不思議な角笛」
マーラーの「子供の不思議な角笛」をシュワルツコップとフィッシャー=ディースカ
ウ(F=D)、セル/LSOで10回、20回と繰り返し聴いている。二人とも憎らしい
ほどうまい。

ディートリッヒ・F=Dといえば昭和52(1977)年5月3日に「マーラーの夕べ」を東
京文化会館大ホールで聴いている(伴奏はサヴァリッシュ)。たしかその来日だっ
たろう、サヴァリッシュ指揮N響の定期におけるユリア・ヴァラディとの「青ひげ公
の城」も印象深く聴いた。(今から思うと当時はもったいなきことに予習(勉強)不
足だった!)

来月にはマティアス・ゲルネ来日で「子供の不思議な角笛」を聴く。


マーラー歌曲集「子供の不思議な角笛」 LPジャケット
E.シュワルツコップ、D.フィッシャー=ディースカウ
G.セル指揮 ロンドン交響楽団
<解説 畑中良輔>
--ドイツのロマン主義文学の根本的な回帰の中に、"Heimweh"という言葉が
あります。郷愁とでも訳しましょうか。これは、ただホーム・シック的な意味の郷愁
ではなくて、人間というものが誰しも持っている、幼い頃への、もっとも純粋だった
少年時代への、帰るすべのない過ぎ去った“時”への憧憬を意味する言葉なので
す。
 失われてしまった幼い頃の、無垢のひとときに、今いちど帰ることが出来るなら
--これがドイツ・ロマン派のひとたちの大切にした“こころ”だったといえましょう。
(中略)
セルという指揮者の体質とマーラーとは必ずしも溶け合わない一点があるように
思われ勝ちなものです。しかしこの頑固親父のセルが、ここではなんとやさしくこ
の二人の“偉大な歌手”に脱帽していることか。それは全く妥協を許さぬセルが、
この二人の音楽性を何よりも信じた証しでもあります。そしてロンドン交響楽団の、
ややくすんだ感じの音色が、マーラーの陰影を深めていて、クリーヴランド・オー
ケストラのように明確な線を描こうとしないところにも、同じセルの指揮といって
も、変化のあることがわたしに興味をおこさせます。
(以下略)


      *        *        *        


gooブログでは表にランキングが出てきません。(「編集画面」に掲示される。)
ご参考までに、当ブログ9/11~9/17の週ランキングをお知らせします。

--8,517位/全体1,633,396ブログ (gooだけで、たくさんありますね~)
閲覧数;6,181回 訪問者数;1,135人・・・毎日(私を含めて)162人の方がご
覧になっています。(月曜日は200人以上の方が来場なさいます。)

ということで、いつもお立ち寄りいただき有難うございます。これからもよろしくお
願いいたします。


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