今年もウィーン・フィルが日本にやってきた。10月2日(金)大阪/フェ
スティバルホールから3日(土)名古屋、そして4日(日)、6日(火)、
8日(木)東京/サントリーホールの5回公演だ。来週は、ソウル、台北、
高雄、シンガポールと回る。指揮者は、4年前と同じC.エッシェンバッ
ハである。
C.エッシェンバッハは、1940年生まれの75歳。スキンヘッドの長身
である。177cmはあるのではないかしらん。姿勢がいい。
プログラムによれば、「国際的ピアニストとして華々しいキャリアを築
いた後、ジョージ・セル、カラヤンの薫陶をうけ1970年代より指揮活
動に転身」した指揮者であるが、評論家からは、不思議と、指揮者と
してもピアニストとしても高い評価を受けていないようだ。V.アシュケ
ナージ(78)、D.バレンボイム(72)に挟まれて、ソンをしているのか
しらん?
そのエッシェンバッハが、モーツァルトの弾き振りをするというので、
10月6日(火)のCプロに足を運んだ。今回は「ダイワハウス60周年
スペシャル」である。ウィーン・フィルが毎年来日できるのも、特別協
賛企業と集客マーケットの賜物だろう。
昨年のドゥダメルでは、皇太子さまのご鑑賞と重なったが、今年、皇
太子さまは4日(日)に鑑賞されたようだ。
<プログラム>
1.モーツァルト ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K488*
2.チャイコフスキー 弦楽のためのセレナード op.48
3.プロコフィエフ 交響曲第1番 ニ長調 op.25「古典交響曲」
ピアノ(*)、指揮;C.エッシェンバッハ
座席は2階RD5-7。5-10が空いていた。
(昨年は、2階C13-29。センターと左右で5,000円の差があるが、
音に大差はない)。
以下、メモ的な感想を。( )内は概算演奏時間。
まず、プログラム。ベートーヴェン、ブラームスでもなく、マーラー、
ブルックナーでもないところがいい。
1.モーツァルト ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K488*(24分)
弦は10型。コントラバスは3。
19:05ウィーン・フィルがコンマスのキュッヒル(--キュッヒルは私
同様寅年だ。)を先頭に登場。オケのメンバーが全員そろうまで立っ
て待つ。ピアノの音からチューニング。
19:06エッシェンバッハ(以下「エ氏」)が黒服の上下でゆっくり登場。
第1楽章は、オーケストラが提示した主題をピアノが繰り返す形式だ
が、オーケストラの部分で、エ氏は両手、左手、右手の指揮。自身の
ピアノパートではごく微妙なルバート。弦は思ったよりきつく、管は上
体をゆする。
第2楽章。Adagio。ピアノの、やや弱めの左手と右手のバランス、そ
して微妙な間、消え入るような生の響き(--しかし女性的にはなら
ない)がすばらしかった。エッシェンバッハの音は格調高いという表現
があてはまるだろうか。とても録音では味わえないだろう。
第3楽章。すぐに3楽章へ。エ氏は上体を揺すらずに、背筋を伸ばし
て弾いていく。オケには両手で大きな指揮。オケもキュッヒルを先頭
に積極的だった。
「第2楽章はピアノのソロで始まるが、美しい中に一抹の憂いを姫田歌い
出しは、さすがエッシェンバッハ」(樋口隆一氏[以下樋口と省略])。
アンコールは、シューマンの「トロイメライ」。ゆっくりとしたというか、
ゆったりとしたテンポ。前に行かない、しかし一方ではやり過ぎにな
らないというか、けして甘くならない、品格ある「トロイメライ」だった。
大変な拍手にエ氏は15~20度のお辞儀。全ステージを通じて、ほ
とんど笑わず、ドヤ顔はまったく見せなかった。
(19:43)
昔、小澤征爾とR.ゼルキンのベートーヴェン/ピアノ協奏曲を生で
聴いた時、R.ゼルキンは75歳を超えていたのではないかしらん。
ピアニストは、声楽家(とくにテノール)と違って、音楽寿命が長い?
エ氏もテクニック的にはナンノコレシキというところだろう。
--休憩--(19:44~20:04)
赤ワイン。誰か知った顔はいないかな~、とキョロキョロ。
2.チャイコフスキー 弦楽のためのセレナード op.48(35分)
弦楽5部は、12型。コントラバスは4である。エ氏は、頭の上から膝
あたりまで両手を大きく使った、しかるに膝はほとんど使わない、こ
こでも背筋を伸ばした指揮ぶり。
想像以上にパッショネート!やや小澤的?柔らかさが少なく、激しい
演奏ながら、室内楽的アンサンブルが見事だった(ウィーン・フィル
にしてみれば、オチャノコサイサイ?)。
エ氏は明らかに指揮をし、オケは明らかに弾いていた。
第1楽章が終わるとパチパチと拍手が起きた。第3楽章は、アゴーギ
クとデュナーミクが大きい(--音楽はすべてアゴーギクとデュナー
ミクかしらん)。男性的な造型と言えるだろうか。
終楽章のAllegroは、熱く燃え、ものすごい集中力にブラボーの嵐と
なった。エ氏は、ウンウンとうなずいて退いた。
やはり「生」はすべてのCDに勝る?
(20:40)
「指揮者としてのエッシェンバッハは、はるかに意志的であり、構成的
だ」(樋口)。
3.プロコフィエフ 交響曲第1番 ニ長調 op.25「古典交響曲」(14分)
ハイドン交響曲の現代版として書かれた曲。15分に満たない曲だが、
コンパクトに詰まっている。管楽器とティンパニが加わった。
エ氏はここでは暗譜の指揮。出だしから、指揮者、オーケストラが一体
となり、アインザッツも効いたhardな演奏。
第4楽章molto vivaceでは、「全員」が超絶的な速さの中で合わせ、
Fineへの盛り上がりをみせた。誰しも興奮して拍手をせずにはいられ
ない。ブラボーを叫んだ。(20:56)
「堂々たる演奏に大いに満足」(樋口)。
アンコールは、モーツァルト『フィガロの結婚』序曲。アンコールらしく、
これまたまことにデュナーミクの大きく、アタックの効いた、したがって
メリハリある全力演奏(20:59~21:03)に、ドッと拍手とブラボーが
来た。
「モーツァルトの冗舌が聴衆を魅了した」(樋口)。
21:06お開き。
ちなみに今回の女性団員は、ヴァイオリンに2人だったかしらん。
エッシェンバッハがいま一つ評価されない理由がよく分からない、
すばらしい演奏会だった。
自分の耳を信じよう。はたして評論家諸氏の感想や如何。
プログラム
Photo日誌
17:03 ドウダンツツジも染まり始めた。
17:10 ハナハナさんは定休日
17:14
17:16
17:47 表参道
17:43 赤坂駅
18:02
18:04
18:05
18:05 着物姿の女性
18:07
18:11 セルフタイマーで--カジュアルルック
18:14
18:16
18:20
18:20 開場
18:21
18:23 ウィーン・フィルグッズの販売
18:25
18:28 昨年の指揮者 ドゥダメル
18:30
18:34
第1ステージ ピアノが中央に
サントリーホールは場内撮影禁止だ。写真はモニター画面より。
18:39 開演前 1階喫茶コーナー
19:47 20分の休憩中
19:50 同上
19:54 同上
第2ステージ モニター画面
21:08 終演後
21:10 同上
21:12
21:27 赤坂
22:09 鷺沼で急行に乗り換え。
22:14 あざみ野
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万人に受ける演奏などありませんし、好悪を議論するなど
烏滸の沙汰というべきでありましょう
因みにワタシは学生時代「エ氏」の演奏するショパンのプレリュードを聞いて
詩情も夢もぽろぽろ零れ落ちて行く空しい演奏にがっかりして
以来エ氏に対する興味を一切失ってしまいました
しかしこれはあくまでもワタシの個人的感想であります
先ほど、このレコードのCD復刻版の評を見たところ
☆一つと☆五つの両極端に分かれていました
(正に賛否両論)
そんなものですから、宇野こーほー氏のように好き勝手を言うのが
いいのではないでしょうか(他人の言う事には耳を貸さない主義)
エ氏ご自身も他人の言う事には耳を貸さない主義者だと思われ
なぜ福岡に来ないんだヽ(`д´)ノ
あ、11月に大阪フィルのショスタコーヴィチ7番を聴くため大阪に行きます( ^ω^)
東京に行く予定は今のところありません。2番か3番を東京でやってくれたら、文字通り飛んで行くのですが…。
「オコの沙汰」という言葉は、初めて知りました。すぐ忘れそう(笑)。
おっしゃることは、深いい~ですね~。
評論家諸氏の中でも、フルトヴェングラーを評価する人もいれば、カラヤンに一票を入れる人もいます。
私がお世話になった上司などは、あれもよければこれもいいという方でした(笑)。
改めて考えると、エ氏はある意味では格調高く、ある意味ではハッとさせる表現はしないと言えるでしょうか。「ブルグミュラー練習曲」などは打ってつけ???
11月の大フィル。井上道義ですネ?すっかりお元気になられたかしらん?井上さんのショスタコは聴いたことがありますが、なかなかすばらしいです。また感想をお聞かせください。覗きに参ります。