五感に、こころ(意識)をプラスして、仏教でいうところの六根。六根とは、目・耳・鼻・舌・身・意の六つの器官、煩悩の根源。
今でも、「六根清浄懺悔懺悔 ロッコウショウジョウ サンゲサンゲ~」、「六根清浄お山は天気 ロッコンショウジョウ オヤマハテンキ~」と唱えながら霊山を登るヒトたちがいる。ヒトは六根の汚れを祓うために山に登る。山は、汚れを祓ってくれる神々が住みたもう。
蔵王山には、あの吉野・大峰山の守護神蔵王権現さまが四周の悪鬼ににらみを利かせている。
権現様をお慕いしたイニシエビトの登拝道を、五感を研ぎ澄まし、こころで感じ、さまざまな、問いを発しながら歩く。
初夏の蔵王。野鳥のさまざまな鳴き声に耳を澄ますが、若葉が茂るようになった高木の梢のどこかにいるようで、声はすれども姿は見えず。一枚も姿を撮ることができなかった。
カッコウ族、カッコウ、ツツドリ、ホトトギスの声はたしかに聴いた。コゲラとセンダイムシクイらしい姿は見えたが、エサを探して行動する彼らはすばやすぎてすぐに消えていった。すでに、エゾハルゼミも、まだ少数派ながら鳴き始めていた。
ミズナラとブナの大木を見上げて、その幹にハグし、手のひらで撫でざらつきを味わう。ついでに木肌の匂いも嗅ぐ。何十年前に誰かがナイフで傷つけて書いたと思われる字を読もうとするが、すでに判読不能。
名前が出てこない高木は、幹と葉を撮って、帰って図鑑で調べる。今日は、ヤマハンノキとウダイカンバと思われる高木が新しい仲間に加わった。調べても不明な木は、保存しておいて、さらに調べることにする。
花も少し撮った。名前が出てこない花は、これも帰って、調べる。今日は、タニギキョウとの出会い。
花に小さな虫がじっとしている。大きなクマンバチが地面の穴から飛び出してどこかに飛んで行った。地面の中の巣はどうなっているのか想像してみるが、どうも分からない。これまで、花にばかり関心が言っていて、花に近づく虫たちのことを知ろうとしなかった。花の命をつないでくれる虫たちのことも知らなければならないのだろう。
蔵王は火山の山。有史以前から何度も噴火して、この森も溶岩や火山灰に何度もやられたのだろう。そのたびに、復活して森をつくる。一体何種類の植物が、どのようにやってきて復活し共存しているのか。(いや共存ではなくせめぎ合いなのか)。太平洋沖で火山によりできた西乃島には、早くも植物が育ち始めたのだという。鳥や波が運んできた種子が生き延びたのだろう。
火山のことも、鳥や虫たちのことも、植物のことも、知らないことが多すぎる。そのために、「ロッコンショウジョウ」胸の内で唱えながら、今年は、蔵王通いで過ごそうか。いい道を覚えたから。
薄暗い林内でひっそり咲くキキョウ科タニギキョウ 小さな花だが清楚だ。
標高500mを超えるとはやくもブナの巨木に出会う。
ブナと同じ地帯にミズナラの巨木も目立つ。
ユズリハの若木に花が咲いている。雄花と雌花とがあって、写真は雄花か。
ウコギ科のハリギリの葉はもうすっかり開いている。新芽は、コシアブラ同様、てんぷらにしてうまい。
ミズナラの枝になにやらリンゴのようなふくらみが。これなんだ。
ナラメリンゴタマフシという名で、文字通り楢芽林檎玉節だ。 ナラメリンゴタマバチというハチの子がこの中で生活し、やがてハチになって出てくるらしい。このようなおうちを虫こぶ(虫えい、ゴール)といって何種類もあるみたいだ。
ユリ科のマイズルソウの可愛い花にじっと取り付いているのは、なんというお名前か。ボケてるし、捕まえるわけもいかんし。ハチの仲間だろう。
サクラソウ科ツマトリソウ シベがかわいいのでマクロで撮りたい。
ユリ科チゴユリ 稚児ユリ 明治の植物学者の愛を感じるお名前
蔵王のイワカガミ(イワウメ科)は今がシーズン
ツツジ科 ムラサキヤシオツツジ の紅紫がまぶしい
ハート形の葉っぱのギザギザと
カバノキ科独特の幹に横のしましま多数。ウダイカンバではないかと推定。
こちらは、まあるいギザギザのある葉で
褐色滑らかな樹皮。 カバノキ科ハンノキ属 ケヤマハンノキまたはヤマハンノキか
スイカズラ科ムシカリ(オオカメノキ) 葉っぱが丸いのと装飾花が5枚均等なおおきさでヤブデマリと区別できる。
葉っぱは、まあるい大亀の甲羅と覚えよう。
いまにも食べごろ?の ウコギ科コシアブラが標高1000mあたりに伸びていました。