この月曜日の南蔵王縦走は、スタートの地蔵岳駅からゴールの長老湖公民館まで、時間に追われて、ほぼ8時間歩き通しで、途中水分補給とクリームパン1個、塩キャラメル1個、ラムネ数個を口にしただけだったので、七ヶ宿のバス停となっているファミマとCOOP併合店に着いた頃には、腹が空いてしょうがなかった。
ザックの中には、わざわざガスカートリッジとクッカーに大きめのカップ麺を忍ばせていて、山上で景色を見ながらたしなもうと思っていたのに、そんな余裕はなかった。
まずビールだな、と七ヶ宿のファミマに入るとちょっとした食堂並みの広いイートインがあり、白石行きの最終バスが出るまで30分ほどの時間があったので、そのスペースでバス待ちをしながらビールといっしょになにか腹につっこもうと小ぎれいな広い店内をまわった。
「うーん、やっぱり下山後はラーメンだ。それも普段愛好している激辛麵のたぐいではなく、疲れた体には普通の醤油ラーメンだ。」ということで、マルちゃんの大きな正麺を手にした。あわせて、レジ前に30円引きと標示されていたゆでトウキビが目に付いたので、これも購入し、マルちゃんのカップ麺の待ち時間5分の間に、本キリン500mで喉を潤しながら、甘いトウキビをむさぼりはじめた。カップ麺が出来上がると、おおむねビール→ラーメン→トウキビ→ラーメン醤油スープ→ラーメン→トウキビ→ビールという手順でいただき、次第に腹が満たされていくのをおぼえた。ショウユがつかれた内臓にやさしい。
どうして、下山後は醤油ラーメンに嗜好がいくのか。考えてみれば、この40年近く、下山後に口にするのは8割方ショウユだった気がする。それも、街で食べるなら、いわゆるどこの食堂にでもありそうな、あの寅さんがすすっていたような一番価格帯の安い普通のショウユ味がいいのだ。どうしてだろう。
理由は、どうやら遠い青森時代(いまから35年くらいまえ)にあるようだ。青森の4年間、登山シーズンは毎週のように山に出かけていたが、山岳会のTさんの自家用車で日帰りできる近郊の山行く機会が多かった。1日の山を終えて、そのTさんと帰路につく途中、きまってドライブインのような食堂に立ち寄って、ビールはもちろんないが、翌週の山の話などをして、醤油味のラーメンをいただいて帰った。器のスープを一滴の残らずらず飲み干すと空腹が満たされ1日の疲労が消え去る心地がした。
そんなことがあったので、下山=醤油ラーメンという体質になっているのかもしれない。そんな遠い日のことを懐かしく思い出しながら、オイラは大きなカップ麺のスープと500mの本麒麟を一滴も残さず飲み干して、空き缶などをコンビニのゴミ箱に分別投入し、外でもう待っていた七ヶ宿公営バス最終便に飛び乗った。
大の山好きだったTさんは、まだ40代だったろうに、その後数年して脳卒中のため登山を断念された。さぞかし残念な思いだったろう。いまは、音信不通となっている。Tさんの代わりに、元気なうちにせっせと山に通い、下山後はショウユを続けよう。