しろつめ・楚々・くちかずこ姫のお部屋 goo

安易に清水の舞台から飛び降りるが、意外に用心深い。極めて自己中心的だが、意識がない部分で情が深かったりもする。

ジーン・ワルツとマドンナヴェルデを読んで

2011年05月29日 17時51分00秒 | インポート
海棠尊という人は、売れっ子小説家でありながら、現場医師。
日本に医療の崩壊について警鐘を鳴らすべく執筆を続けている人。
チーム・バチスタが有名かな?

多分、殆ど読破しているくちこですが、
今回はちょっと・・・呆れながら読みました。
いくらなんでも、あり得ない!

本当の、地方の、小さな産婦人科に席を置いたことのない人・・・と痛感しながら。

医療ドラマって、知らなかった最先端を見ることができたり、逆に監修不足でヘンテコな医療シーンに苦笑したりして楽しんできましたが、
今回は、身近過ぎて笑えないんだなあ・・・

小さな産院に最終的に通院する妊婦が4人。
そして、同日に全員産気づいて、出産。

一人は体外受精を繰り返しての高齢初産。
→途中から緊急帝王切開に。

一人は経産婦だけれど、「無脳児」と知った上での出産。
→出生後すぐに死亡。

一人はヤンキー娘で、二転三転しつつ、父親不明で、上肢の無い子供を知った上での出産。
→回旋異常で難産。

そして4人目は55歳の代理母で双子を出産。
→陣痛が始まってからの帝王切開で、双子の両親は既に離婚しているし、父親も操作されている・・・

この日の現場スタッフは、癌末期で病床の医師を含めて医師3名と、助産師1名。
看護師0。

絶対できないような事をやってしまうのが、
やるしかないのが産婦人科だと、
骨身に沁みているのがくちこですが、
この設定は無茶過ぎる*(びっくり2)*

多分、筆者が、産婦人科の崩壊を痛烈にアピールしたかったんだろうな*(いっぷく)*
くちこ自身、その崩壊に立ち会ったしね。

確かに・・・
不思議な位、
異常な出産や奇形児は続きます。
まるで一つの波のように・・・

出産は原始的でありながら、
とても人智の及ばない、
神の領域が歴然と残っている世界、
と、肌で感じてきました。
方や、顕微鏡下での体外受精・・・
とても矛盾した世界です。

できることなら、
産婦人科の崩壊について警鐘を鳴らすには、
現場の産婦人科医に書いて欲しかったな。

もう臨床から離れて3年近くになるくちこですが、
簡潔に知って欲しいことをお伝えします。

「無事」は、「当然」ではなく「有り難い」こと。

医師も人であり、完全無欠ではないこと。

全ての過失が罪として裁かれるのであれば、
そのうち、産婦人科医はいなくなること。

少子化対策は、子育て支援金よりも先に、
もっと大きな課題が手前にあるということ。

人が権利ばかりに敏感になると、
自分の足元が揺らぐということ。

既に戦線から離脱したくちこが偉そうに言えることではないのですが・・・

最後に、この2冊を読了して、韓国ドラマ廃人の母に手渡した娘のアンテナの鋭敏さに、ちょっと驚いているくちこです*(シャイ)*

まだ、くちこが戦線にいたころ・・・
「ママ、お勉強中にて預かり中」*(クローバー)*

photo by kazukomtng from OCNフォトフレンド

この子達の未来に*(キラキラ)*

P.S
この写真の産院、分娩取り扱いを止め、病棟閉鎖、病棟スタッフは全員解雇になりました。
その院長の決断の半年前にくちこは既に退職を願い出ていました。
後任が決まり次第と・・・
後任は来ないまま、みんなと退職となりました。
夕方から朝まで、たった一人で病棟を背負う当直でした。
複数のお産を管理しながらでも。
自分がとんでもないミスをしないうちに身を引こうと思っていました。
そして、院長も他院の裁判の敗訴を見てやる気を無くしてしまいました。

そして、産む場所を奪われて崩れ落ちる妊婦をたくさん見ることになりました。
「お産難民」が出始めています・・・

長くなってしまって・・・ごめんなさい。