私も4年半前から持っている
本だが、深いところを求めず
サワリを知るには役に立つ
書だ。
私的に秀逸であると私が
認識する点は、この著者は
北欧ナイフの本質を知悉し
ており、マイクロベベルを
やたらめったらと削り落と
す研ぎをしてしまう現行の
日本での宜しくない流行を
批判的に指摘している点だ。
これは、動画サイトの時代
にあって、何でもかんでも
マイクロベベルを研ぎ落し
てしまう人気ユーチューバー
の影響で、深慮なきナイフ
の変形削りが流行してしま
い、北欧ナイフの製作者の
真意をないがしろにしてい
る日本の現況について憂う
記述となっている。
私は100%全方位的に同意
する。
とにかく糸刃を落とせば
良しとする付和雷同的な
後先考えないナイフ削り
の傾向には私も憂慮する
ところなのだ。
皆さん、もう少しだけ、
「切り」について深く考
えてみようよ、と。








こうした見識はもっと広
めるべきだと思いますが、
ネットで動画が大人気の
時代、明確な意見を述べ
たり見解を表すと炎上
したり叩いたり執拗に
ネットで誹謗中傷した
りする連中が多いから
か、ネットではこのよ
うにはっきりとした物
言いはあまり見られな
い。
フィンランドのネイチャー
ガイドでナイフメーカー
である大泉聖史さんも動画
で解説しているが、北欧の
ナイフにはプーッコとレウ
クという大別呼称がある。
まあ、簡単に言うと刀と脇
差みたいなもの。
大型で先に行く程に身幅が
広くなるナイフがレウク
で、先が細くなる短い
ものがプーッコだと大雑
把には分けられる。
日本刀の場合は二尺以上を
刀でそれ以下を脇差のする
が、別段短い刀を脇差にし
ても実用上は差し支えはな
い。
日本刀の場合、過分に幕法
によっての呼称と長さの規
制に依拠していた。実用面
だけならば三尺の刀と二尺
三寸の脇差でもよかったの
だが、そんなのを差してい
たら咎められた。幕藩体制
時代、刀の長さには規制
があった。
北欧ナイフの場合、プーッコ
などはさらに厳密には、ブレ
ード露出位置の根元からすぐ
に刃が付いている物が正式な
プーッコのようだ。それと
完全なラップハンドル。
ナイフという文化も文化圏
ごとにいろいろありますね。
日本の場合、なぜ明治維新
まで折り畳みの刃物が無か
ったのだろうなあとか思う
が、考えたら北欧ナイフも
まさにそれだった。
折り畳みはドイツのカミソリ
あたりからですかね。その
辺はよく調べていない。
ただ、折り畳みにロック機構
を付けたのはどうやらアメ
リカみたい。
でも、ルーツを精査すると、
案外ドイツあたりだったり
してね。
北欧ナイフの特徴としては、
日本の戦国時代の鍛冶産地
工房制のような方式を採っ
ていることだ。
日本刀に幻想を抱いている
方には申し訳ないが、鎌倉
時代末期以降、日本は家康
が天下統一するまで300年
近く内戦状態の国だった。
ゆえに日本刀工法は量産工
法が一般化していった。
膨大な武器の需要は個人鍛
冶では到底対応仕切れなか
った。
そのために、予め鋼を炭素
量ごとに種分けしておいて
組み合わせて刀剣を作るス
ピード製法が発明された。
そして、それを担うのは、
一大生産地での集団鍛冶工
房制だった。
最大生産地は備前であり、
その後の美濃である。
また、豊後鶴崎や肥後菊池
や備後や越前でも大産地が
形成され、夥しい刀剣需要
に対応した。
戦国期の合わせ鋼の日本刀
は軍用専門の量産工法ゆえ
「数打ち」と呼ばれたが、
実用上は全く全鋼の贅沢
な無垢真鍛えの注文打ち
と変わりはない。美濃物
のように刃先だけに鋼が付
いているだけの刀剣でも、
とてつもない大切れと頑丈さ
を持っていたし、備前の数打
ちも腰が強く、実用戦場刀
として存分に活躍したし、
肥後や豊後の刀は重ねも
厚く強靭な武器として名
を馳せた。
そして、備前などではまさに
そうだが、銘はあくまでも一
つのブランドとして存在し、
同じ工房で製造された刀身
にいろいろな銘が切られて
販売された。現在の日本の
包丁がまさにその方式だ。
現代北欧ナイフはまさにその
戦国期の日本の刀剣と同じ方
式を採用している。
多くの北欧のナイフメーカー
がマルティーニ製かラウリン・
メタリ製のブレードを仕入れ
て、それを自社で研磨して整
形し、自社刻印やエッチング
で自社ブランドをスタンプし
て自社製品としているのであ
る。
ラウリン・メタリはフィンラ
ンドのKauhava(イントネーシ
ョンは「飼う幅」)にある。
ヘルシンキの北西400キロに
ある南ポフヤンマー県にある
人口1万6000人の小さな町だ。
だが、このカウハヴァで作ら
れるナイフのブレードが、ほぼ
全部の北欧プーッコナイフの
ブレードとなっている。
マルティーニはフィンランド
北部のラッピ県にある人口6
万人の都市ロヴァニエミにあ
る老舗メーカーだが、こちら
も多くのラップナイフのメー
カーへブレード供給をしてい
る。
東京西勘や日本橋木屋の包丁
が自分たちでは包丁を製造し
てはいないように、北欧のナ
イフメーカーはカスタムメー
カー以外はほぼ全部が日本の
包丁の製造・卸・加工・販売
方式と同じ形式で運営されて
いる。
有名なEnZoもファルクニーベ
ンもすべてナイフブレード=
刀身は仕入れ物を使っている。
しかし、アメリカンナイフも、
現在ではほぼ全て大陸中国の
ナイフ工房にOEM製造を委託
しているし、その工房は同じ
であるので、どのアメリカン
ナイフでも品質は同じレベル
で、作りも似ている、
という状態になっている。全
てが中国ブランドのコロンビ
アやリアルスチールのような
ナイフになって来ている。
日本のナイフ製造中心地は
岐阜県の関市だが、かつて
は北欧を除く全世界のナイフ
のOEMを手掛けていた。ドイ
ツのゾーリーゲンのナイフも
北米の老舗メーカーのナイ
フも関での製造だった。
日本製ナイフは高品質だった
が、人件費が中国とは比較に
ならず、欧米の列強諸国の資
本は日本での生産から中国に
乗り換えた。
ただし、品質は日本のナイフ
は今でも世界一だが、中国は
NCマシンの導入により、日本
をも超える品質の製品を作り
始めている。
そのうち、このままでは、世
界中の刃物は中国生産になっ
ていくのではなかろうか。
ところで、最近、理髪店(関東
でいう床屋、関西でいう散髪
屋)では、髭剃りの剃刀は
替刃が主流だ。良い切れ味
が持続するかららしい。
昔は、床屋さんは太いベルト
のような革砥で顔を剃る前に
ストロッピングしていた。
これはもうどこの床屋さんで
も絶対に。
刃先を整えていたのよね。
今のナイフ研ぎでは、ストロッ
ピングでは板に貼り付けた革
でストロッピングすることが
流行りのようだけど、微妙な
テンションや自然な角度調整
はベルトのような革砥で合わ
せたほうが私はいいと思う。
私は研ぎの最後のストロッピン
グはそうしている。
雨があがって気候が変わると、
また虫がぞろぞろ沸いてくるね。
昨日、動物病院に猫をワクチン
摂取で連れて行ったら、ドク
ターに言われたよ。
ノミ、ダニには本当に注意して
ください、と。
先日も連れてこられた子が3日
後に死んでしまったんだって。
吸血する虫はばい菌やウイルス
等運ぶからホントによくないね。
人間も、変なもんに感染しない
ように要注意だよな。
ほんと、ダニやノミやシラミは
しつこいから。他者の生き血を
吸ってしか生きていけない奴ら。
とっととくたばればいいのに。
接触しないに限るよ。
ただ、害虫である蚊は向こう
から寄ってくるから始末が悪い。
蚊は自分たち以外の生物に害悪
を振り撒く。
ブンブンうるさい蚊は群れて
厄病を拡散させる。
1匹ごとに叩き潰すにも限界が
ある。
電子蚊取りマットみたいなもの
が便利だが、それにも範囲があ
る。
厄介なもんだ。
無論ナイフや刀では切れない。
心を持たないから、害虫は
人が心に訴えてそれが響く
事もない。