刃物の防錆保存には気化性防錆
紙てのがある。いろんなメーカ
ーから発売されている。
まあ、新聞紙よりはマシかなと
いう程度で考えていたほうが
いいかも知れないけど。賞味
期限あるし(笑)。
原理は、紙に染み込ませた防
錆剤が気化して金属表面に付着
してコーティング作用が発生す
るというもの。
あくまで一時的な効力だ。一年
程が限界か。
昔ながらの油紙が最強のような
気もするが、最近あまり見な
い。
差し当たっては、定番のこれ
でも一時的には大丈夫だ。
こういうのもあるけど、自己
責任でね。
油引いてからだと油染みがで
きたりもするので、これの扱
いは良し悪しある。
要するに、錆の原因は大気と
の接触なので、空気を遮断す
るか空気中の湿気を吸い取ら
せるかによる。
正倉院宝物殿のあぜくら造り
などは、そのあたりの換気と
遮蔽を大気の湿気による木材
の膨張収縮という自然物理現
象を利用して調整できるよう
な設計になっている。
明治以降に一般化した日本刀
の白鞘も、正倉院宝物殿と同
じような設計思想がある。
ちなみに江戸時代の時代劇で
白鞘が出て来るのは嘘ね。8代
将軍の時に江戸城天守が出て
くるようなもんで、存在しな
いのであれは嘘。
うっかり八兵衛の「御隠居、
チャンスです」くらいに変な
ことなので、時代劇というの
はいい加減なものだ。
刃物は鋼だろうとステンレス
鋼であろうと、鉄である限り
錆びます。
人がしてあげられるのは、錆
びないような手立てしかない。
鉄は鉄としては自然界には存
在しなくて、人間が無理やり
作り出した物なのよね。還元
によって。
錆びるのは鉄が元の姿に戻ろ
うとしていることなので仕方
ないことなのよ。岩や石や砂
みたいなのが鉄の元の姿なの
だから。
最初の頃は赤土を焼いて酸素
を引っ剥がして鉄にしていた
のだし。砂鉄だって、ありゃ
砂だ。鉄鉱石なんて石だ。
それを強引に金属にしたのが
人間であって、鉄からしたら
「おいら元の場所へとっとと
けえるぜ」てなもんでね。
ドラマ『仁-JIN-』の坂本龍馬
の「せんせ、戻るぜよ」みた
いなもんで。
でも、「ちょと待てよ」とキム
タク風にもう暫くおいらといな
よ、と手を引く人の業が防
錆というわけ。
新聞紙って、結構防錆力ある
よ。
吸湿とインクによる油気がい
いのかも知れない。
新聞紙てのは便利だね。簡易
包装紙にもなるし、試し切り
用の素材にもなる。
固く巻けば畳表よりも手間の
かからない日本刀試斬の素材
にもなる。
そして、ネジって棒状にすれ
ば焚き付けや薪代わりにもな
るし、新聞紙3枚程で飯も炊け
る。
いや、新聞紙は便利だす。
うちの取り置き新聞紙は、研
ぎ後の刃味検査で切り込みだ
らけ。
新聞紙1枚の切れ具合で刃先
の状態がよく判る。
畳表が切断できたかできない
かなどにのみ視点が行く大雑
把で雑な感性では、刃物で切
っているのか技で切っている
のかさえも判断が覚束ない事
だろう。
畳表を切断できても、ダメな
切断もあれば良なる切りもあ
る。非常に細かい。
「細かい識別」というのは、
武術においては最重要事項と
なる。
それに気づいている人は存外
少ない。
木刀で新聞紙が切れるが、そ
れは技で切るからなのだが、
その意味を日本刀に宛てて
類推して考察しようとする人
はごく一部だ。
ま、新聞紙は何かと便利です。
最近思うに、もしかすっと記
事よりも人の役に立ってんじゃ
ないのお?と(笑)。
報道陣の真摯な襟元正しを望
みます。
取り敢えず、被告人を被告と
呼び、ナイフ全般をサバイバ
ルナイフと呼び、玩具空気銃
をモデルガンと呼ぶ不明、誤
認の拡散はマスコミはやめて
ください、と。
ハンドルをタイヤだタイヤだ
と呼ぶ区別と識別がつかない
ことやってますから。
そういうことやりだすと、そ
こには作為が生まれ、悪意の
ねつ造さえも黙認容認する
ことになりかねない。
それはね、ジャーナリズムの
精神ではないのだから。
マスコミ関係者はよく自覚し
てほしい。
報道陣は、事実を事実と、真
実を真実と識別せよ。