知られざる東京のミステリーアイランド:青ヶ島
あたしゃ三宅島までしか行ったことない。
北の最果て足立区はよく知ってるけど(笑)。
足立区って埼玉県と陸続きなんだよ~。
荒川の向こうが埼玉じゃないの。
日本領土の最南端の陸地は東京都なんだ
な、実は。
まだオリジナルのマッチが残っている。
スクーターは街に映える。
久しぶりに観た。
公開時は大学の後輩の女の子と渋谷
に一緒に観に行った。
超満員の立ち見だった。
昔は映画館は通路までぎゅうぎゅう
詰めになるまで観客を入れたのだ。
役者の演技は果てしない学芸会なの
だが、原田知世がとにかく可愛い。
そして、映像キャメラ的には大林監督
のこの撮り方は一つの金字塔かと思う。
原作も儚いが、1970年代初期のテレビ
ドラマ版はやたら1965年の原作に忠実
たろうとして無理がある感があった。
この1983年大林版の映画は、とても
視覚的にも物語的にも「綺麗に」
撮っている。
ファンタジーここにあり、といった
面での冴えを見せている。
CGも無い時代に、かなり見せる。
1986年作品『彼のオートバイ.彼女の島』
でも見せた白黒とカラーの織り交ぜは
本作でも登場させている。
1990年代中期にシャロンストーン主演
ハリウッド西部劇の『クイック&デッド』
で見せた視覚トリックを1983年時点で
邦画の大林監督は見せている。
それは、主たる人間はカメラとの距離は
そのままなのに、背景のみがズーッと
引いていく映像だ。
大林監督は、それを多用せずに、有名
な切ないラストシーンでそれを見せた。
時は高校2年生だった主人公が記憶を
消されてから11年後の1994年となって
いる。
大学の研究室の前の廊下で、和子は
2600年代からかつてやって来て未来
に帰った植物学者のケンソゴルと
再会する。本作ではケンソゴルの名前
は出てこない。記憶を消された和子は
それがかつて愛した彼とは気づかない。
未来人ケンソゴルは視線を戻し、去って
行く。
和子は「どこかで見たことがある人」
といういぶかしげな様子で彼を見る。
この時、背景のみがズンと遠ざかる。
しかし、これは役者とカメラを同じ台車
に載せて引きながらカメラもズームを
使って急激に背景のみが遠ざかったよう
な錯覚の視覚効果を出す撮り方だ。
そのため、原田知世の位置は、まるで
水平移動をするように最初の扉の位置
から手前に移動している。
しかし、カメラとの距離関係は変わって
いないので、背景のみが急激に遠ざかっ
たように観ている者は錯覚する。
そして、物語のラストシーンだ。
1983年大林版『時をかける少女』の
この有名なラストシーンは、2010年
版の『時をかける少女』でも出てくる。
ヨシヤマ君は安田成美が演じている。
大学に勤務する科学者として。
本83年版をインスパイアしてこの作品
が好きでたまらない映画人が作った
作品で、2010年版もかなり映画好きを
唸らせる出来栄えになっていた。
和子の娘は仲里依紗が演じたが、やはり
タイムリープの後、記憶を消されて
しまう。しかし、最後に記憶はないまま
「誰か」が撮影した自分のフィルムを
観て涙が止まらなくなる。
この1983年時かけと2010年時かけは
見まごうことなく連作だ。2010年版は
完全に27年ぶりの続編といえる。
仲里依紗の演技が最高だった。
大林宜彦監督は、ボーナストラック的な
要素で学芸会風味をエンディングテロップ
の時にやってのけた。
主人公和子を演じた原田知世に主題歌を
歌わせながら、本作の各シーンを再現
させて登場させたのだ。
果てしない学芸会ぶり。
しかし、それが狙いだ。
これが本当の最ラストシーン。
原田知世はこの第一回主演作が事実上
の女優デビューのようなものだが、
セリフがまるで駄目なのに、表情が
とてもいい。初めて見た時に天才かと
思った。
演技力は薬師丸ひろ子が歴史的な
ものがあるが、原田知世は可憐な16才
を演じ切っていた。
とにかく笑顔が可愛いの。劇中では
笑顔のシーンはほぼないので、あえて
このラストエンディングを作ったの
ではなかろうかという位に。
16才の笑顔はこうありたい(笑)。
「綺麗な映画」です。
でも、かなり細かいところまでこだ
わって計算して監督は撮っている。
映画作品として秀作だと思う。
原作を潰さずに別物として良化
させた映画作品の好例。