1941年のアメリカ映画。
カラーである。
実在のビリー・ザ・キッドが死
んだのは1881年。
この作品公開時からほんの60年
前の事を映画にしている。
現代映画でいうなら、私が2才
の時の1962年を描いている事
になる。
つまり、この映画が撮影された
1940年頃はまだビリーが生きて
いた頃に生まれた人たちも生き
ていた、という事だ。
100年以上昔を描いたものでは
ないという事。
だが、本作は現代からは82年前
の誕生となる。
今、この映画を観るという事は、
この映画が撮影された時点から
実際のビリー・ザ・キッドの
時代までの60年間よりも22年
も多く時代を遡るという事だ。
映画はタイムトラベルを私たち
に体験させてくれる。
この映画、非常に面白い。
西部劇かくあり、という作だ。
そして、牛追いのキャトルドラ
イブや大暴走のスタンピートも
実写である。かなりの迫力。
銃は当然全部実銃だ。
空砲を使っている。音も本物の
銃声だ。
29才のロバート・テイラーが
21才のビリーを演じる。
もし、この時に実在したビリー
が生きていたら81才になる。
親友が間違えてビリーを狙う。
銃は5.5インチ銃身のピース
メーカーだ。
ビリーの銃も5.5インチ。
ビリーの銃も5.5インチ。
5.5インチ銃身がいかに主流で
あったかがよく判る。
なお、本物のビリーは左利きで
はない。裏焼き写真の為に見抜
けない連中がビリーを左利きだ
と広めてしまった。今でも左利
きにしたがる脳内妄想族が多く
いる。赤信号を青と思い込む口。
戦前の日本は映画が大流行だった。
そして、多くの映画人はアメリカ
映画を観て影響された。
その中でも、西部劇は人気だった。
戦前、戦中の映画は名作も多い。
『カサブランカ』(1942)などは
今観ても名作だと断言できるし、
今観ても面白いのが凄い。
完成されているのだ。映画として。
『駅馬車』(1939)も名作中の名作
だ。
『最後の無法者』(1941)は、西部
劇ファンだけでなく、映画好きの
方にもおすすめ。
ロバート・テイラーがカッコいい。
昔の俳優さんて、ハッキリと台詞
をしゃべるよね。独特の抑揚を
つけて。まるで舞台演劇のように。
本作、良作。
この映画公開の年に日本はアメ
リカに一方的に戦争を仕掛けた。
こんな映画を撮る国に。
この国に竹槍で勝とうなんて。
ビリー役のロバート・テイラー
は、実在しなかったハリウッド
ガンベルトの早撃ち用リグを使
っている。
だが、実物の西部開拓時代の
本物のメシキカンループも出
てくる。実際の歴史ではこの
タイプのガンベルトのリグだ
った。ベルトに穴空けて通し
てホルスターを吊るすタイプ
は、ハリウッド映画用に開発
された映画用ガンベルトだ。
本物の歴史ではベルトにホル
スターを通した。
ズボンにもベルトループは無く、
時代考証正確。パンツの上から
日本の帯のように締めるだけが
ベルトだった。『シェーン』で
もそれは再現されていた。
このいでたちこそが、現実の
1880年代を表現している。
シャツの胸と袖から覗いてい
るアンダーウエアはズボン下
まで一体のワンピース下着だ
ろう。
この作品公開の1941年は映画の
舞台の1881年から60年。
この作品からこんにちまででは
82年。
現代から本作制作公開時よりも
本作品製作から西部開拓時代の
ほうがはるかに時間が近い。
そして、ビリー・ザ・キッドが
死んでから142年も経った。
1881年明治14年、日本では最後
の斬首刑が山田浅右衛門によっ
て執行された。
ビリー・ザ・キッドが射殺され
たのは7月14日、ワイアット・
アープたちがOKコラルでクラン
トン一家を射殺したのは10月
26日だ。
この年、ガーフィールド合衆国
大統領は暗殺さた。
アメリカ合衆国、まだ無法時代
は続いていた。
キャトルドライブは本物を撮影
している。
ビリーはモラルある人格者の牧場
主に雇われる。
だが、牧場主は乗っ取りを狙う
町の実業家に殺害されてしまう。
ごろつきを集めて手下にして町
を支配している人間にやられた。
それゆえ、ビリーは復讐の皆殺し
を誓う。ようやく更生しかけ
たのにビリー・ザ・キッドは
また人殺しの世界に戻るの
だった。
たのにビリー・ザ・キッドは
また人殺しの世界に戻るの
だった。
牧場主は連邦保安官に指名され
たばかりだった。ビリーは恩赦
前提で罪が解かれたばかりだっ
た。
だが、連邦保安官助手の幼馴染
の親友と共に、法執行官として
ビリーは牧場主殺害者の町の
一味の逮捕に向かうが、敵は
敵で法を盾に保安官たちと共謀
してビリーをお尋ね者として
敵対する。牧場主を殺したの
はビリーというお尋ね者を出頭
させる事に連邦保安官である
牧場主が拒否したので町の保安
官が射殺したというのだった。
ビリーたち牧童たちの大集団は
保安官たちを逮捕すべく町に
突入する。どちらも法の番人
として対峙した。
だが、果たして卑劣な町の実業
家一味と金で飼われた保安官
に正義の法執行など通用す
るのか。
に正義の法執行など通用す
るのか。
現実では、ビリーは無法者とし
て友人の保安官パット・ギャレ
ットに射殺された。
本作品は実話をベースにしてい
る。
そして、本作を観ていると、
『シェーン』(1951)のベースは
本作品にある事が観て判る。
『シェーン』の細かい設定や描
写が本作の中にある。
この映画でビリーが使う銃は
無縁火薬のバージョンながら、
黒色火薬時代のようなフルムー
ンタイプのエジェクターロッド
ノブが着いたコンバージョンだ。
ハーフムーンタイプが標準化さ
れる以前のSAA。
実銃ピースメーカーの1stジェネ
レーションレイトモデルの初期
型だろう。
空砲ブランクを使っている為、
シリンダーヘッドから弾頭は
見えない。
本作品、かなりの秀作だ。