もう年で、殆ど歩けないんだ。
目も片目は失明、もう片方も
殆ど視力がない。
呼びかけると声がするほうを
見るが、顔を静かに横にずら
すと目で追わず空を切るよう
にいないほうを見たままだ。
散歩は犬用介護キャリー
カートに乗せて外まで行っ
て下して用を足すように
している。
「介護用カート」と言っている
のに、知人友人にはこの画像を
見ての反応はふた通りあった。
はっきり分かれた。
「お犬様」と言う人と、犬の
容態を気遣う人とにキッパリ
と分かれたのだ。
不思議なものだ。
そして、「お犬様」と言った人
は、それなりのある質性を持つ
共通性があった。
人というのは、ほんの些細な
日常会話から人の質が見える
ものだ。
隠す事はできない。
ヨボヨボ歩き。
立って数歩歩くのがやっと。
犬だけでなく、だれでもやって
来る。
介護が必要になった人が車椅子
や自動車に乗るのは、お殿様だ
からではない。
ふとしたことで人間の視点、潜
在思考というものは露出する。