
小学校や中学校時代、避難訓練がありましたね。
火事や地震を想定して、校内放送があってね。
教壇の、黒板の上のスピーカーから、
「今、地震が起こりました。皆さん、机の下に避難してください。」
「わー」
とか言いながら、一応、机の下に頭を突っ込んで。でも、半ば、ニコニコと笑いながらね。何でだかわかりませんが。まあ、真剣味がなかったのですね。
そして、その後、先生の誘導で、ゾロゾロと皆で階段を降りて、校庭に集まって、整列するんですよね。
教室を出るときには、「はい!こういう時は、落ち着いて行動しましょう。」
でも、みんな、喋る。階段に行く頃には、もう夜のテレビの話とかしててね。
「はい、そこ!静かにー!私語は禁止です!はいはい!押さない、走らない!」
ディテールは地域や学校によって色々でしょうけれども、僕たちは、おそらく日本中でこういう避難訓練を経験しました。
あの避難訓練は、「ちょっとだけど、授業が休みになるね」くらいのもので、
僕は本心を言いますと、「あーあ、めんどくさいなあ」と思っていました。
夏場などは、暑い校庭に並ばされて、長々と分かりきった点呼とか取らされたり、
退屈な先生の話を聞きながら、「暑いなあ・・・。お腹減ってきたし。早くお昼にならないかなぁ。」
そんなものでした。
そんな大震災なんて、起こるわけないのに。
これが、当時のノーテンキな僕の、本音です。
今、僕たちは、予定された訓練でない、現実と向き合うことになりました。
どうしようもないような地震が、そして、恐るべき津波が来てしまいました。
壊れてしまった原発は、もくもくと人間が近づきたくない煙を上げています。
こんなんこと、誰にとっても、経験したことの無いこと。
だから、意見は割れます。
「はい、冷静に行動しましょうね」
あの避難訓練の時の先生の声が、もしかしたらですが、どこかで今、鳴り響いてるのかもしれません。
冷静にね。
これは勿論、僕はいいことだと思います。
無駄な買い占めなんてどうかしてます、と、僕は以前にも書きました。煽るつもりなんて、毛頭ありませんです(煽られた!と思われたらすみません)。
なにより、独りよがりなパニックを起こすことは、災害時に限らず、いつだって、よくありません。
でも、情報を集めて、自分が、「あなたには健康であって欲しい」とその身を案ずる方たちに発信することも、よくないのでしょうか。
なんかね、皆な疲れてるのかもしれませんし、一杯いっぱいになってるのかもしれませんが(僕も含めて)、
いつの間にか
「政府発表が真実で、それ以外はタブー」
になっていくのは、怖いです。
それがエスカレートしたら、それは、「いつか来た道」かもしれません。
情況がカオスになると、こういうことが起きることは、今までの歴史上、何度もありました。
(これを政府発表を、戦時下の大本営発表と一緒に考えてしまう人がいますね、と非難する声もあるのは、知った上で。それも含めて、繰り返しですから。)
「はい、そこ!静かにー!私語は禁止です!はいはい!押さない、走らない!」
「おとーさん、ぼくのボールが・・・」
「うーん、仕方ないねぇ。そのうち、きっと風が吹いて、こっちに流れ着いてくるよ。それまで、見守ろうね。」
「うん」
では。