![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/27/b036ce284e58dbe039e7bdeae4d1877c.jpg)
テレビなどで、ニュースをお聞きになられた方も多いと思います。
福島第一原発の修復作業に当たっている作業員の方が、トイレの水も流れない施設の会議室で雑魚寝をしていたり、勿論暖房など無い中、水の流れないトイレ前の廊下で毛布一枚で寝ていたり、食事もビスケットやカロリーメイトで、それも一日二食だというのです。手を洗う水すらない環境だそうです。
福島第1原発事故 食事は1日2回、毛布1枚で雑魚寝など作業員らの過酷な状況が明らかに
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00196247.html
これは、健康な普通の人でも相当辛い状況ですが、さらにこの中で、恐ろしく集中力の必要であろう「原発の復旧作業」という仕事をしているという事を考えますと、どうも首が曲がります。
「なんでこんな」
ある意味、今、一番、元気で、しっかり活躍していただかなくてはならない方々ですよね。
原発の復旧が失敗したらなんて考えたくもありませんが、人間、やはりしっかり食べないと集中力は持たないと思います。
下の記事を読みますと、作業に当たっている方々は、『理系の大学を出て入社し、「たまたま配属された」』などとあり、これだけ読みますと、作業には東電の社員さんが当たってるように思えます。(勿論、そうとだけ書いてあるわけではありませんが、印象として。)
原発、過酷な現場 食事はカロリーメイト・椅子で睡眠
http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY201103240475.html
でも、東電の社員さんだけが現地にいっているのではないのは、ご存知のとおりです。
役人の方たちも行っているし、勿論、指揮系統として、運用会社である東電の社員さんや、技術系の日立、東芝などのメーカーの社員さんたちが、大勢、何らかの形でここに関わっているのは間違いないでしょう。
そして、実際に現場で危険な作業に当たっている方々が全員こうした社員さんたちではないことも想像に難くありません。今も、数百~千人規模だというのですから。協力会社であったり、下請け、孫請けの社員さんたちも、当然、こういう作業に当たられている。現場があんなにも放射能汚染されていることを知らされず仕事に当たっていた、というのはご存知の通りです。
この、ずさんともいえる扱い。(枝野官房長官は待遇の改善を指示しました。)
下の記事にはっきりと書いてあります。将来的な仕事をちらつかされ、今の危険な作業の要請が断れないというのです。
下請け協力会社の悲哀 福島原発
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011032602000026.html?ref=rank
『「なぜちゃんと安全を確認しない」「『死にに行け』と言うのと同じだ」。作業員三人が被ばくした福島第一原発3号機の復旧工事。原発で働く下請け作業員からは東京電力のずさんな安全管理を批判する一方、「上から言われればやむを得ない」とあきらめる悲哀も口にした。』
『被ばくした三人のうち、一人は作業を請け負った関電工の下請け社員。電力会社を頂点とする原発ピラミッドでは、さらに底辺にいる下請けが危険な仕事を任されるとの見方は根強い。彼らは「原発ジプシー」と呼ばれ、定期検査ごとに全国各地の原発を渡り歩く。』
原発ジプシー。
先日ご紹介した、平井憲夫氏の「原発がどんなものか知ってほしい」にも出てきた言葉で、僕はここで初めて知りました。
この時は「そんなものがあるのか・・・」と思いましたが、これは、この世界を知っている人には当たり前のことのようです。
以下の記事をお読み下さい。9年前の、スペインの新聞の記事の翻訳です。
日本の原発奴隷
http://www.jca.apc.org/mihama/rosai/elmundo030608.htm
『東京の新宿公園のホームレスたちに対して、黄ばんだ張り紙が、原子力発電所に行かないようにと警告を発している。“仕事を受けるな。殺されるぞ”。彼らの多くにとっては、この警告は遅すぎる。日本の原子力発電所における最も危険な仕事のために、下請け労働者、ホームレス、非行少年、放浪者や貧困者を募ることは、30年以上もの間、習慣的に行われてきた。』
『原発で働くことを受け入れた労働者たちは、原発ジプシーとして知られるようになる。その名は、原発から原発へと、病気になるまで、さらにひどい場合、見捨てられて死ぬまで、仕事を求めて回る放浪生活を指している。「貧困者の契約は、政府の黙認があるからこそ可能になります」。』
『原発で働く訓練と知識が欠如しているため、頻繁に事故が起きる。そのような事故は、従業員が適切な指導をうけていれば防げたであろう。「誰も気にしていないようです。彼らが選ばれたのは、もしある日仕事から戻らなくても、彼らのことを尋ねる人など誰もいないからなのです。」』
これが現実だということです。
早朝の公園で建設現場の日雇い労働者を募るように、原発での下請け仕事というのもあったのですね。
しかし、もはや今の状況を見ていると、こういったことも「なるほど」と納得が出来てしまうのも恐ろしいですが、もし本当なら、こんな危険かつ大切な仕事をしているのが、殆ど何の知識の無い素人、というのはやはり恐ろしいです。
仮に指揮者が熟練でも、演奏者が素人では・・・。こんな例えですみません。
考え過ぎであればいいのですが。
「そりゃあ、普段の掃除とかではそんなことも・・・。でも、今は、非常時。訓練された作業員が当たってるよ」
であって欲しいです。
でも、福島第一原発は、一番古い1号機などでは、運転開始からすでに40年以上も経っているので、作った当時の技術者の大半がもう居ないといいます。
これも、作業を難しくしている原因だそうですね。どこがどうなっているのか、ちゃんと知っている人が居ないのだとか。つまり、指揮者もよくその曲を分かっていないような・・・。(指揮者は、オーケストラの中では、誰よりも一番その曲について詳しく知っている、というのが当たり前です。)
そもそも、耐久性を考えたら、こんなに長く使っていいものではなかったという話も聞きました。
これも、今後、問題になるでしょう。
色々、思いが巡ります。
今は、間違いなく放射能が漏れている。猛毒のプルトニウムまで漏れてきてしまった。
平時でさえ、中に入るのは危険な現場なのに、今、ここに行くというのは、いかほどの覚悟のいることでしょうか。
誰が行けばいいのか、誰が行くべきなのか、誰にやってもらうのか。
でも、誰かがやらなければ、というか、誰かにやって貰わなければならないという、このジレンマ。
ただただ、「成功してください。」と遠くで祈って、見守ることしかできません。
今、僕たちの生活の安全は、福島を始めとする日本の、いえ、世界の安全は、この方たちの肩にかかっているのですよね。
どうか、一日も早く、見通しが立ってほしいです。
誰も、被曝などせずに。
いや、・・・最小限の被曝ですみますように。
下は、今日の新聞記事です。
「日当40万円出すから」 原発作業員 確保に躍起
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011032990065850.html
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/f7/3b7728f3a0d548d1c959f8b12b66b564.jpg)
丸々、引用します。
『 危機的な状況が続く福島第一原発。その復旧作業は放射能、時間との闘いで、作業員の確保が急務となっている。東京電力の要請を受けた協力会社は、各地にいる作業員たちを呼び寄せようと躍起になっている。中には法外な高給を提示された作業員もいる。
「日当四十万円出すから来ないか」。福島県いわき市からさいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)に避難している作業員藤田竜太さん(27)の携帯電話に、旧知の原発のメンテナンス業者から誘いが入った。
現場は福島第一原発。高給である以上、それだけ高い危険が待ち構えていることはすぐに分かった。電線の敷設作業をしている友人からは「おれ、もう被ばくしているかも」と聞かされた。
長男はまだ三つと幼く、妻(26)には新しい命が宿った。ためらいなく断った。藤田さんは、「五十代以上の人は高給につられて原発に戻っているらしい。でも、おれはまだ若いし、放射能は怖い。もう原発の仕事はしたくない」と語った。
一方、協力会社の男性社員(41)は、勤務先から「人が足りないから戻ってくれないか」と第一原発での作業を要請され、四月以降に福島に戻る。
男性は計測器を使ってそこが作業できる場所かどうかを調べるのが主な仕事。原発の現状からすると、まさにそこが最前線ともいえる。「特別な報酬があるわけではないが、危険な作業が待っているだろう。断ったら、恐らく会社にはいられない」と半ば強制だと受け止めている。
同県田村市の男性(58)によると、第一原発で働く知人の父に、「五十歳以上の人で原子炉近くに入ってもらえる人を探している。手当は普通より多く払うからお願いできないか」という電話がかかってきたという。
東京電力は現場の労務環境について、「放射線量が高いので、一人当たりの作業時間に限りがあるため、人員の交代が頻繁に行われている」と説明。また、「協力会社にお願いしながら人員を確保している。作業費は協定に基づいて協力会社に支給しているが、個々の金額についてはコメントできない」としている。(社会部・堀祐太郎:東京新聞) 』
命の値段、という言葉が頭をよぎります。
勿論、お金の問題はさておき、現場では今も、責任感や正義感のもと、勇気を振り絞って懸命の作業に当たられている皆さんが沢山いらっしゃると思います。
ただただ、頭が下がる思いです。
一日も早く、お腹一杯のご飯と、十分な水分と、もう少しちゃんとした寝床をが用意されますように。
では。