怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

ウルトラダラー

2007-11-22 21:12:39 | 
この本の帯には『衝撃のドキュメンタリー・ノベル』となっている。実はこれを読む前に、あの外務省のラスプーチン佐藤優とこの本の著者手嶋龍一との対談の新書を読んだのですが、佐藤優曰く「情報源の特定をできなくする為にあえて小説にして筋を作ったのではないか」とのこと。手嶋龍一もこれを否定していない。そういう意味ではこれは小説として読むべきではないかもしれない。
インテリジェンスというと何やら恐ろしげなスパイ合戦を思い浮かぶが、95%は公表されている情報を、極秘の情報とつなぎ合わせてどう解析するかということらしい。その意味では経済大国日本にはおのずとあらゆる情報が入ってきており、かなりのインテリジェンスを使えるのだが、それを的確に分析できる人材を養成しておらず不足しているみたい。
でこの本ですが、北朝鮮の拉致に潜む偽札つくりの闇をいろいろの情報をつなぎ合わせて暴いています。そういえば過去にそんなニュースを見たなということを繋ぎ合わせていき、いかにも真実はこれだというような話が浮かび上がってきます。
しかし情報源を隠すつもりなのか、小説としては如何にもここは違うなということが出てくるし、話の展開も強引で苦しいというところも出てきます。こういう言い方をすると酷でしょうが、小説としてはまだまだ手馴れた素人という感じがします。人物描写もどうも血が通っていないところもあり、中途半端に登場してあの人たちはその後どうなってしまったのかというフラストレーションも感じます。
ニュースソースを隠さなければいけないところがあったにせよ小説という形ではなく公開された情報の分析を主体にしたドキュメンタリー(ニュースソースの隠し方はそれなりに技法はあると思います)にした法がいいのでは。
読み出したら一気に読んでしまったように面白かったのですが、小説としてはいまいちだったという印象でした。
コメント
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