【やまと郡山城ホールで第43回定期演奏会】
「A-Winds」(奈良アマチュアウィンドオーケストラ)の「2014年夏の演奏会」が6日、大和郡山市のやまと郡山城ホールで開かれた。1999年の発足から今年で丸15年。四季折々に開催してきた定期演奏会も回を重ねて今回で43回目を迎えた。
前半の第1部は英国の作曲家の作品を集めた。幕開けは「オリエント急行」や「宇宙の音楽」などで知られるフィリップ・スパーク(1951~)の「ハンティンドン・セレブレーション」。明るいファンファーレで始まるテンポの速い曲。2曲目もスパーク作曲の「タイム・リメンバード(追憶されるべき時)」だが、曲調は一転してゆったりとした叙情的な作品だった。
この2曲は団員指揮者の魚谷昌克がタクトを振ったが、3曲目から後半の第2部にかけては松下浩之が客演指揮した。松下は元大阪市音楽団のトロンボーン奏者で、現在は大阪音楽大学や神戸山手女子高校音楽科などの講師を務める。3曲目はグスターヴ・ホルスト(1874~1934)作曲の「吹奏楽のための第二組曲ヘ長調」。あの「惑星」で有名なホルストが吹奏楽の分野でも多くの作品を残していることを初めて知った。
第2部最初の曲は米国の作曲家ラリー・クラーク(1963~)の「デジタル・プリズム」。25人という小編成での演奏だったが、次の合田佳代子(1973~)作曲の「『斎太郎節』の主題による幻想」ではコントラバスも加わり50人近いフルメンバーによる演奏だった。この曲は今年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲の1つ。作曲者の合田は阪神大震災の被災者の1人として、東北地方の民謡をテーマとしたこの曲に東日本大震災復興への思いを込めたそうだ。
第2部最後の演奏曲は英国出身の作曲家ピーター・グレイアム(1958~)の「交響的情景『地底旅行』」。もともとは金管と打楽器のための作品として2005年に発表されたが、大阪市音楽団の委嘱で吹奏楽版が出来上がったという。演奏時間は約15分で、ピアノも加わってトロンボーン、フルート、クラリネット、パーカッションなどの聴きどころが次々に表れる壮大な演奏。吹奏楽の醍醐味を十二分に満喫させてくれた。アンコールは天野正道(1957~)編曲の「キラキラ星変奏曲」だった。