【キキョウ科、原産地は地中海沿岸地方】
キキョウ科ユウギリソウ属(トラケリウム属)の多年草で、原産地は南ヨーロッパと北アフリカの地中海沿岸地方。日本には大正末期に渡来してきたといわれる。ユウギリソウ属には7種あり、このうち草丈の高い「カエルレウム種」がユウギリソウという和名で呼ばれている。他にギリシャ南部原産で矮性種の「アスペルロイデス種」などがある。
花期は6~9月ごろ。草丈は30~100センチほどで、直立した茎の先端に青紫色の小花が無数に集まって直径約20センチの花をドーム状につける。小花は2ミリほどのベル形で、中心から長い雌しべが突き出して伸びる。そのため遠目では無数の雄しべで花全体の輪郭が霞んで見えるということで「夕霧草」という優美な名前をもらった。名付け親は誰だろうか。
属名の「トラケリウム」はギリシャ語で「喉(のど)」を意味し、この植物が喉の病気に効くことに由来するという。英名は「スロートワート(Throat Wort)」。これも直訳すると「喉の草」になる。ユウギリソウの種名「カエルレウム」の語源は「青い色」という。
花色は青紫が一般的だが、白や淡桃色などもある。涼しげな花姿から切り花として人気が高く、花壇や鉢物用も出回っている。もともとは宿根草だが、やや寒さに弱いことから日本では1年草として扱われることが多い。初夏に摘心すると、脇芽が出て花数が多くなるそうだ。