喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

愛媛県立三崎高等学校のすばらしい教育 ~植松努さんの考える、個性を大切にする教育~

2018-01-07 | 教育
 正月明けの3連休で息子が再び松山から帰省。
我が子が3人そろったので、教育について考えている。

 双子の高校2年の娘たちは愛媛県立三崎高等学校で、実に様々な学びをしている。
 姉は、校内スピーチコンテストの原稿書きや
2月に計画している県内外の個性的な高校を集めての「高校生サミット(仮称)」の企画で忙しそう。

 妹は、昨夏推薦してもらい、体験させてもらった「高校生トビタテ留学ジャパン ~カンボジア国際ボランティア~」の
大量の報告書作成で忙しそう。

 言わば、三崎高校では、普通の高校とは違ったやり方で、個性を伸ばす教育活動が行なわれている。
これは実におもしろい。
 世間一般的に多いのは大学受験に向けて、つめ込みの勉強、勉強また勉強。
国際化、情報化、少子高齢化など変化の激しい今の社会に、これらの勉強で自分のどんな未来が描けるだろう。

 自分で考えて、自分で試してみて、身に付いた経験が個性。
答えがいくつもある課題。または答えが見つけにくい課題が多いこれからの時代。
だからこそ、自分を総動員した個性が重要になるだろう。

 だから息子が通う「愛媛県立農業大学校」や
娘たちが通う「愛媛県立三崎高等学校」に魅力を感じる。



          「娘が参加した高校生トビタテ留学ジャパンの壮行会」


                    「知恵袋ばあちゃんとの作業」

 尊敬する植松努さんの考えがおもしろい。

『年末にテレビに出ました。
いろんな経営者が集まるテレビです。
悲しかったのは、みんな僕より若かった。
僕も、年を取ってるってことです。

いろんな仕事をしている経営者の集まりでしたが、
共通していたのは、
「ほかの人と同じ事をしない」でした。
同感です。

ほかの人ができることをやると、比べられます。
そして、やってることが同じなら、安い方に負けます。
だから、たいていは、安さ勝負になります。
利益率が低下するので、売り上げを増やさないといけません。
数を売ろうと思ったら、安くするしかなくなります。
どんどん、安くなっていきます。

安さ勝負に陥らないためには、「付加価値」が大事です。
そして、最強の「付加価値」は、ほかの人ができないこと、です。

植松電機は、現在まで、競合相手がいない仕事をし続けています。それは、新しい仕事です。
だから、植松電機は、基本的には、「誰かの図面」で物を作らないです。
自分で考えて、自分で作って、自分で提案してきました。
だから、自分の居場所を作れたのだと思います。


「なにをすればいいですか?」
「どうすればいいですか?」
おしえてもらえる事は、当然、教える人も知っています。
そして、自分以外の生徒もたくさんいます。
それは、もはや付加価値ではありません。
クラスメート全員が競合相手です。
そこで生き残るには、「自分で考えて、自分で試す」が
もっとも効果的です。


これから、人口減少に伴い、マーケットは縮小します。
そこでは、ほかの人と同じ事をしていたら、
今まで以上に安売りを強いられる可能性があります。
だから、今まで以上に、自分で考えて自分で試す必要があります。

それは、他人に理解されません。
でも、だからこそ、一人勝ちにつながります。
だから、他人に理解されないことで凹む必要はないです。
粛々と、すべきことをしていけばいいです。

個性とは、ものまねではないです。流行でもないです。
自分で考えて自分で試すことで得られる経験です。
自分の思考の結果、身につく経験が、本当の個性です。
それが、きっと、すごく求められる時代だと思います。』


 岬には夢がある。

              岬人(はなんちゅう)

植松努さんの考え方と我が子育て ~トライ&エラーを経験させる愛媛県立三崎高等学校~

2018-01-07 | 教育
 年末年始、久しぶりに子どもたち3人がそろった。

 幼い頃のしつけを思いだす。
子どもたちが学校から帰り、天気のいい昼間から家にいたら、よく言ったものだ。
「天気がいいんやけん、外で遊べ。
宿題は夜でもできるんやけん、昼間しかできんことをやれ。」

 しつけのとおり、子どもたちは二名津の地域を遊び回った。
そして夕方帰って来て、バタバタと宿題に追われた。
 今でもそれはよかったと思っている。
要するに様々な体験をしてほしかったのだ。
山や海、川での自然体験。地域の人たちとの社会体験。
遊びや手伝いの生活体験。
 当然、失敗あり、感動あり。
失敗したら再挑戦したらいい。工夫を加えて。
トライ&エラーのくり返しをどれくらい体験できたかが、生きる力へとつながると思った。





 植松努さんという方の考えにすごく共感する。
その考え方の一つをみてみる。

『小学生の頃、忘れ物をしたりすると、先生に怒られました。
そして、「反省しなさい!」と言われました。

その先生の怒り方は特別で、
最初にビンタをはられます。
転倒するほどの威力です。
その後は、教室のうしろの壁に立たされて、
残りのクラス全員の子達が、
「なんで忘れ物したんだ!」
「反省しろ!」と、
かなり長い時間、忘れ物をした子に詰め寄る。
という方法でした。

後に、この方法は、シベリアに抑留された人たちが
洗脳として経験した「つるしあげ」という方法だと知りました。
それが、小学校の授業の中で行われていたことに恐怖を感じます。

僕はいろんな失敗をしてきました。
そりゃそうです。
失敗は、意図的にするものではないです。
失敗は「してしまうもの」です。
なぜ、「してしまう」のかというと、
行為の結果の予測が不十分だからです。
なぜ、予測が不十分なのかというと、
それは、情報(経験)が足りないからです。
だから、若い人や、子どもは、多く失敗します。
そして、それは酌量され、リトライのチャンスが与えられます。
まだ、経験が足りないであろう、ということが、明確だからです。

で、さすがに、大人になると、失敗すると責任を負うのですが、
でもね、大人だって、情報(経験)が足りなければ、
なんぼでも失敗します。
責任を負わないといけないのに、失敗するのはつらいですね。
だとしたら、大人は、大急ぎで、経験を積み情報を増やす必要があるでしょう。


で、経験を積む際には、やったことがないことをやる必要があったり、知らないことを知る必要があります。
当然、やったことがないことをやると、うまくいかないです。
その場合、「うまくいかない=失敗」とか「うまくいかない=だめ」だと思い込んでいる人は、やったことが無いことと関わりたくないです。
そして「知らない=恥ずかしい」とか「知らない=だめ」だと思い込まされている人は、知らないことに関わりたくないです。
だから、経験を増やせません。

経験が増えないと、失敗します。
でも、失敗しない方法はあります。
それは、なにもしない、です。
できることだけしていればいいのです。
なるべく、同じ事をしていればいいです。
でも、それでは、成長しないどころか、
年々、人間は老いていきますから、性能は低下し、
できることが減っていきます。
それは、おそらく、ストレスになるでしょう。

そして、ストレスがたまりすぎた人の中には、
「だれでもいいから」「なんでもいいから」
他人を批判し、悪口を言わなければ、自分を守れない人が生じます。
そういう人は、まわりの人たちの挑戦を阻害し、失敗を糾弾します。
だから、まわりの人たちも、失敗できなくなります。
これは悪循環です。


僕は、以前、失敗したときに、悔やみました。
自分を責めて、後悔しました。
眠れぬ夜が何日も続きました。
頭の中は「こまったなあ」「どうしよう」ばかりでした。
でも、よくよく考えたら、「何もしていません」でした。
時間の無駄でした。寝た方がましです。
ということに、気がつきました。

僕は、「反省」とは「再発防止策」だと思っています。
それは、思考です。
「反省した態度」とか「反省した表情」とかではありません。
ましてや、「正座」とかではありません。
ところが、すくなからずの大人は、
「反省しろ!」と言うばかりです。

以前、ロケット打ち上げで危険な事がありました。
その後の記者会見で、僕は、原因を考え、
次の打ち上げにはどういう事をするかをしゃべりました。
すると、新聞記者から「反省の色がない!」と怒られました。
「反省の色って何色ですか?」と思いました。
その記者は、再発防止策よりも、反省しているっぽい態度を要求したのです。
言葉で再発防止策を説明しても理解できない人が、
色塗る程度で反省と見なしてくれるなら、なんぼでも塗ります。

こういう間違った「反省」を要求されてしまった人は、
正しい反省ができないかもしれません。
すると、挑戦できないです。自信が増えないです。
もしかしたら、誰かの挑戦を阻害し、誰かの失敗を糾弾する人になるかもしれません。

だからこそ、「正しい反省」はとても大事だと思います。
原因を考え、再発防止策を考える。
これは、特許における発明の思考とまったく同じです。
もしかしたら、正しい反省とは、発明なのかも。

失敗してしまった人には、
「反省しろ!」という言葉ではなく、
「どうやったら、再発しないか考えよう」のほうが
はるかに大事な気がします。』


 
 息子は、愛媛県立農業大学校で、
娘たちは、愛媛県立三崎高等学校でトライ&エラーのくり返し。
両方の学校の共通点は、地に足の着いた教育活動を行っているということだ。
実におもしろい。
 この学校で新しい時代を切り拓く力を養っている。


             岬人(はなんちゅう)