我がふるさとに県道拡張の話が持ち上がった。
その計画でいくと、我が家のハルサキの倉庫を移転しなければならない。
この倉庫は、倉庫の温度が高くなることを抑えることができるなど、柑橘の保存をするには環境がとても良い。
苦渋の選択だったが、
「地域のみなさんが喜ばれるなら移転しよう。」
と父が決めた。
その後も県道の用地交渉など大変なことが多かったが、令和2年度秋、進み始めた。
取り壊されるハルサキの倉庫。
この倉庫ができたときのことは、よく覚えている。
小学生ながら、屋根に上がってコールタール塗りなど手伝った。
40年前、ここを建てた父にとっては、暮らしの倉庫であり、思い出の倉庫。
その心境を思うと、父の思うように協力した。
農業を継いでくれている息子もトラックで移転作業をどんどん進めていく。
年が明け、令和3年、ついに建物が取り壊された。
建物がなくなってみると、案外狭く感じられる。
やがてこの基礎も取り除かれ、新たな道路となり、地域の交通が便利なものとなる。
変化の少ない田舎だが、新しい時代の風が吹いている。
岬人(はなんちゅう)
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