今日のニュースにあったけど、ゴルフに遅れるからといってひき逃げをした
という人がいたね。轢いた人は68歳のおじ(い)さんで、相手は高校生。
その高校生は幸い命に別状はなかったものの、顔面骨折等の重傷。
68歳といえばもう仕事も引退して、平日ゴルフへ行ってるくらいやから
悠々自適の生活をし、もちろん常識力もあり、人生の酸いも甘いも噛
み分けた経験もある人、であるはずやのに、なんでこんな非常識なこと
をしてしまったんやろか。
俺が思うにやっぱりこれは(仕事は引退したと仮定して)現役で仕事を
していた時の「ノルマ病」のような気がするねんな。例えば、
少し前の社会保険庁の保険金の納付率を上げるための分母操作や、
直近ではいじめによる自殺者がゼロやと報告している教育委員会など、
とにかく“数値”ノルマをなんとかクリアするために、本来の目的が忘れさ
られてしまうといったようなこと。
ただ、こういうことは日本の企業のどこにでもある話で、みんなそれがい
いことだとは思ってないんやけど、最終的には、正義を取るか自分の生
活を取るかという所へ追い込まれていくので、誰しもが仕方なく自分の
生活を取ってしまわざるを得ない。
そうしてみると、これはもう個人の資質の問題じゃなく、やっぱり社会全
体の問題や。今、日本で起こる悪事の根源のほとんどはこのノルマ制
度にあるというても過言やないとちゃうかな。
もちろん、ノルマは絶対必要で、これなしでは目標が立たず、仕事が
成り立たんから、仕事を持つ人の誰もがノルマに縛られている訳やけれ
ど、それに「正義」とか「下積み」というものが置いてきぼりを食らってる
のが問題やと思うねん。
たとえば、成果を作物の収穫で考えてみると、土をつくり、肥料をやり、
水をやり、草を抜き防除をして・・・という過程があってはじめていい作
物が収穫できる。こんなに大切な過程やのに、収量以外は何の評価
もされないのが今の社会や。しかも一人でこの過程から結果までをひと
りで完結させてる人がいるわけじゃなく、水やりばっかりを担当している
人もいれば、収穫ばかりを担当している人もいるわけで、人によっての
陰と陽もはっきりしてしている。
野球で言えばこの間の阪神の優勝。あの優勝の年に活躍した選手
の多くは、前監督の野村さんが育て上げた選手。そら星野監督は尊
敬もしてるし素晴らしい力量を持った監督やけど、目立たないところで
じっくりと確実に選手を育て上げた野村さんは、本来星野さん以上に
評価されるべきなのに、ほとんどの人はそれを考えないし、マスコミもそ
っちの方に目を向けない、もしくは向けても報道しない、という態度や。
結局ところは一番難しい問題やねんけど、「結果」ではなく「過程」を
評価するということを少しづつでも社会に取り入れていくしかないと思う
ねんな。当然最後は結果を出さんとあかんわけやけど、結果はこのよ
うな過程なくしてありえないはずやから。
そうすると、このひき逃げ事件の当事者のおじさんも、ノルマ社会の犠
牲者であって、「ゴルフの約束に遅れることは、ゴルフ人生の終わり」
みたいな脅迫観念に近いものがあって、それは人の命よりも重いもの
やったのかも知れん。だからといって許される問題やないけど、何の分
別もない若者がやったことやないだけに、なんか単純に「何考えとんね
ん」という気持ちになれんねんなぁ。
とまぁ、こんなこと言うてても、結局このおじさんは若い頃から訳のわか
らんことばっかりしとったんやろね。まぁ今回は日本社会を語るダシに
させてもらうくらいでちょうどええやろ。
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