僕たちは一生子供だ

自分の中の子供は元気に遊んでいるのか知りたくなりました。
タイトルは僕が最も尊敬する友達の言葉です。

享年

2013-06-13 | Weblog
今だに「喧嘩上等」という友達がいる。
やれ誰かがメンチを切っただの、やれあいつは態度が横柄だだの、信号が変わっても発進しない車にいちゃもんをつけるだの…まるで中学生か高校生のやるようなことを今だにやっている。当然、音楽は矢沢しか聞かない。草食系などという男が多い昨今では、もはや絶滅危惧種となった「硬派」そのものの男なのである。

でもご察しの通り、私はこの友達が大好きである。
それは彼が、とにかく自分に正直で、こんなことをしていたら怪我をするとか、会社で問題になるとか、「打算」というオトナ特有の計算を全くしないからだ。普通はそんなことをしていたら何か起こるのが当たり前。でも、彼の場合は不思議なことに、今まで怪我も問題も聞いたことがない。まるで絶滅危惧種を守ろうとする力が働いているかのごとく。

そんな彼にはいくつもの武勇伝?があるが、その中で私が一番好きな話をひとつ紹介しよう。

私にも彼にも孫がいる。ある日、孫の友達の2歳位の女の子が彼の家に遊びにきた。
やっと片言を話始めて可愛いさかりの年頃だ。当然、話す内容を理解しているわけではなく覚えたことをただ音として出すだけである。その子が彼にこういう行動をとった。

目尻を手で下げて「べー」

普通の大人なら「べー」とやり返すか、上手にべーできるね、とか言って、まぁ、微笑ましいと思って終わる話である。ところがいとも簡単に2歳児より子供になることができる彼はこう思った。

「あの“オンナ”俺にべーとしやがった」

何も分からない幼児が突如オンナになり、そのオンナになめられた、と彼は思った。それから彼はこの子が大嫌いになったらしい。

私を含め、大人と呼ばれる人達はみんな、自分の中の子供を遊ばせてやれないでいる。なのに、彼の中の子供はなんて生き生きと遊んでいるのだろう。

もしいつか彼の命が消えてしまったら、墓石には是非「享年2歳」と刻んでやって欲しい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿