第244話. 梅 ~花鳥風月~

2019-03-17 21:16:22 | 花鳥風月
湖畔人です。

最近、梅の綺麗さに目を奪われることが多い日々を送っています。

寒い冬の間は常緑樹の濃い緑と、葉の落ちた落葉樹の茶色の枝だけの、明るい色彩が欠乏した世界しかありませんので、そんな寂しげな冬の景色の中に突如として現れる梅の登場は大変華やかであり、とっても目を奪われます。梅は、ゴツゴツとした老齢な方の手の様に皴が深い幹と枝を持ち、その老けた印象の枝に可憐な花が直接的に咲いているので、余り軽くない印象であって、落ち着きのある美、ワビサビもあり、何か伝統の上に成り立っている感の強い花木だなといつも感じています。盆栽になるのも良く判る気がします。例えて言えば、落ち着いた色彩の着物を来た着物美人に出遭ったような印象です。浮ついていない、落ち着いた感じの美ですね。

艶やで儚い桜も良いですが、梅もとても良いと思います。

しかし、若い頃は全く関心の無かった梅にも、感動と美しさを感じるようになりました。
以前も、申した事があるのですが、風に揺れる草木の様を見る事が好きでして、刻々と変わる空と雲の表情を見る事も、蝶の舞いや鳥達の鳴き声や生態を観る事も、月や星のまたたきを観る事も、段々と楽しめるようになってきました。若い頃は草木を見ても話さないし動かないし退屈としか思っていなかった気がしますが、今はその動かない草木に沢山の癒しを頂いています。タレントのタモリさんが、以前何かの番組の中で“花鳥風月への興味は老いの段階を示しており、まず最初に花に興味に持つようになり、次は鳥に興味が移り、次は風、最後に月に関心が移ると、それはあの世への旅立ちのサインだ、と言うような主旨の発言をされていた、と、どこかのネット記事で読んだ記憶があるのですが、流石に月への関心が死期へのサインとは思いませんが(それだと天文学者達が皆短命になってしまいますのでね・・・)、でも花鳥風月の良さはある程度年齢が行かないと判らない感覚かもしれないなと、今私も実感をしている所です。年を重ねる事も悪い事ばかりでは無さそうです。

嘗てのパンク小僧が言うのも変ですが、結構悪くないです、花鳥風月・・・。
静けさと共に楽しめますしね。こうして身の回りに溢れるちょっとした自然に癒しを感じとれる状態にあると言うのは、若い頃には今ほど無かった感覚なので、ある意味、味わう対象が増えている分、得している感もあるし、人生が豊かになった感じがありますね。

お勧めします。

湖畔人

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。