私は小説家・林真理子の本が好きだ。特にエッセイ。ほとんどを持っているか読んでいるかしていると思う。あの人の思考回路が自分とダブることが本当によくあって、「わかる、わかるー」とうなずきながら読んでいる。
ところで、そんな彼女のエッセイの中に“階段恐怖症”というのが時々出てくる。要は“階段の昇降”が怖いんだそうな。ご本人が怖いというから怖いんだろうけど、ちょっと眉唾ものやなぁと思っていた。だって、階段の昇降が怖いって想像しにくいし、共感も持ちにくいんやもん。
そんな風にひと様の恐怖症に対していぶかしく思っていた矢先。
自分にもあった。
おそらく他人に理解してもらえない恐怖症。
それは。
“数字恐怖症”。
これは何も数字が怖いということではない。私はとにかく“数を数える”のがとても苦手。前からその特性については自覚していたけど、今日ハッキリ悟った。私は数を数えなければならない環境にあるとストレスを感じる、と。なぜだか知らないけど、「きちんと数えなきゃ!」と思えば思うほど空回りしてきて、そのうち60の次の10の桁がなんだかったか、87の次がなんだったのか、わからなくなってしまうのである。
何度も書くけど工場で働く私。一日の工程が終了すると、その日やった作業の中でいくつロスが出たか、そしてケースや刷毛、箱等の資材はいくつ残っているかを数えなくてはならない。
この時間が本当に苦痛。
私はなんとか数えないで済むように、その時間が来ると段ボールをつぶすとかゴミを出しにいくなど、体力系の仕事を引き受けることで避けてきた。でも今日は、なぜか班長さんから「アナタ、このラベルシール、何枚ロスが出たか数えておいて」とご指名。ロスになったシールはプラスチックのシートに貼り付けられているけど、もちろんロスなので、張り方はぐちゃぐちゃ。整列されているものでさえ数える際にモタモタすんのに、適当に貼られたシールを数えるなんて、そりゃあドキドキもの。
それでも一生懸命数えた。
1回目、124枚。
2回目、123枚。
3回目、125枚。
この時点で私の緊張感はすごく高まっていたと想像してほしい。
4回目、122枚。
そこで班長さんから「アナタ!! まだ数えてんの!!!!」とお叱りの声。
ひぃぃぃぃ~。
でも、そりゃ怒られるわな。超単純作業やもん…。
そして班長さんが見守る中、5回目のカウント。
127枚。
もう私、ダメです…。
そこから「もう一度数えます!」なんてことを言う勇気もなく、結局127枚を申告。今もなおその結果に半信半疑である。
できればこの先、数を数えるという作業を避けるだけ避けて通りたい。そしてなんなら“数字恐怖症”の存在の認知にも、今後力を注いでいきたいぐらいだ。
ただひとつ言い訳をさせてもらえれば、昔からこんな私ではなかった。数を数える以外に、実は加減乗除(特に加減)も苦手なんだけど、これは前職にゆかりのある、演歌界特有のデビュー年数の数え方に起因すると信じている。その話は機会があればまたいずれ。
そんなわけだから、心ある皆様、私になるべく数を数えさせないでください。どうぞよろしく。
林真理子さんが階段を昇降するときもきっとすごーく怖いんだろうと、今なら分かる。
ところで、そんな彼女のエッセイの中に“階段恐怖症”というのが時々出てくる。要は“階段の昇降”が怖いんだそうな。ご本人が怖いというから怖いんだろうけど、ちょっと眉唾ものやなぁと思っていた。だって、階段の昇降が怖いって想像しにくいし、共感も持ちにくいんやもん。
そんな風にひと様の恐怖症に対していぶかしく思っていた矢先。
自分にもあった。
おそらく他人に理解してもらえない恐怖症。
それは。
“数字恐怖症”。
これは何も数字が怖いということではない。私はとにかく“数を数える”のがとても苦手。前からその特性については自覚していたけど、今日ハッキリ悟った。私は数を数えなければならない環境にあるとストレスを感じる、と。なぜだか知らないけど、「きちんと数えなきゃ!」と思えば思うほど空回りしてきて、そのうち60の次の10の桁がなんだかったか、87の次がなんだったのか、わからなくなってしまうのである。
何度も書くけど工場で働く私。一日の工程が終了すると、その日やった作業の中でいくつロスが出たか、そしてケースや刷毛、箱等の資材はいくつ残っているかを数えなくてはならない。
この時間が本当に苦痛。
私はなんとか数えないで済むように、その時間が来ると段ボールをつぶすとかゴミを出しにいくなど、体力系の仕事を引き受けることで避けてきた。でも今日は、なぜか班長さんから「アナタ、このラベルシール、何枚ロスが出たか数えておいて」とご指名。ロスになったシールはプラスチックのシートに貼り付けられているけど、もちろんロスなので、張り方はぐちゃぐちゃ。整列されているものでさえ数える際にモタモタすんのに、適当に貼られたシールを数えるなんて、そりゃあドキドキもの。
それでも一生懸命数えた。
1回目、124枚。
2回目、123枚。
3回目、125枚。
この時点で私の緊張感はすごく高まっていたと想像してほしい。
4回目、122枚。
そこで班長さんから「アナタ!! まだ数えてんの!!!!」とお叱りの声。
ひぃぃぃぃ~。
でも、そりゃ怒られるわな。超単純作業やもん…。
そして班長さんが見守る中、5回目のカウント。
127枚。
もう私、ダメです…。
そこから「もう一度数えます!」なんてことを言う勇気もなく、結局127枚を申告。今もなおその結果に半信半疑である。
できればこの先、数を数えるという作業を避けるだけ避けて通りたい。そしてなんなら“数字恐怖症”の存在の認知にも、今後力を注いでいきたいぐらいだ。
ただひとつ言い訳をさせてもらえれば、昔からこんな私ではなかった。数を数える以外に、実は加減乗除(特に加減)も苦手なんだけど、これは前職にゆかりのある、演歌界特有のデビュー年数の数え方に起因すると信じている。その話は機会があればまたいずれ。
そんなわけだから、心ある皆様、私になるべく数を数えさせないでください。どうぞよろしく。
林真理子さんが階段を昇降するときもきっとすごーく怖いんだろうと、今なら分かる。