華麗なるオーストラリアンライフ

渡豪17年。職業・看護師。
白熊のようなオージーの旦那1人とワンコ2匹で
ニューサウスウェルス州の田舎町で生息中。

看護と看護師について考える

2015年11月21日 22時31分59秒 | Weblog
昨日書いたように、午後から夜勤のダブル。あぁ、しんど。

午後に出勤してみると、午後シフトは私の担当は1人だけ。
というのも。
今回の手術を以前別の病院で受けようとした際、麻酔後に誤嚥、呼吸困難を起こし、結果的に手術は行われず、集中治療室で過ごすことになった患者さん。今回我が病院で再チャレンジ。10時間近くかかる手術でもあったので、執刀医が病棟に術後24時間付きっ切りの看護を依頼してきた(手術時間が長いほど予後に影響が出る可能性が高い)。
手術は美容整形。手術自体は木曜日夜。私は最後の8時間を担当することになった。
我が病院には残念ながら集中治療室がない。ドクターはよくうちでこの手術をやろうと思ったな、と思うと同時に、患者さんもよく怖がらずに再度手術に挑もうと思ったな…と別の意味で感心した。だって美容整形。何もしなくても命に関わる状態ではない。まぁ、それはそれとして。

先日、4年目の看護師になった私(年数ではなく、勤務時間で何年目になるかがちゃんと計算されている。同時に働き始めてもフルタイムとパートタイムでは○年目になる時間に違いが出る)。まだど新人と思っていた私にもこんな大役が回ってくるようになったのか…と感動を覚えると同時にやっぱりビビッてしまった。先の8時間を担当していた先輩に「私に務まりますか?」と聞いたぐらい。手術後ずっと容態が安定していたこと、上記のような過去はあるものの、私がこれまで似たような手術を受けた患者さんをお世話したことが何度もあることから「大丈夫」とのこと。
結果的には何の問題もなかった。いつもやっていることをこなしたのみ。通常よりはその頻度(例えばヴァイタルのチェック)が高かったことぐらい。無事に役目を終えてホッとした。

夜勤では10名の患者さんを担当。
2名をのぞいてみな介護要らず。なんて素敵なバーゲンナイト。数時間おきの見回りではみんなスヤスヤ眠っていた。看護記録をしっかり読む時間もあって充実感を覚えるシフト。

しかしドラマは最後の1時間にやってきた。

うちは田舎の小さな病院。レギュラーの患者さんが何人もいる。そんなおばあさんの一人を担当した。
先週から容態が良くなく、とうとう緩和ケアに切り替えられたところ。今すぐどうこうという状態ではなかったはずなのに、今朝、投薬と排泄のために部屋へ行ったら様子がおかしい。昨日まで歩けたのに立ち上がるのもままならない。異様に汗をかいている(亡くなる前の症状のひとつ)。なのに寒いといい、身体をブルブル震えさせている。そして何より目の焦点がまったく合っていない。昨夜は全然そんなことはなかったのに、明らかに様子が変。
2人がかりでトイレに連れて行き、その間に濡れた枕カバーを交換。もう座っているのもしんどそうな感じ。意識に混濁が見られ、排泄もしているのかどうか自分でわかっていない。排泄の後ベッドで寝かせたところ、「私、死ぬのね…」とおばあさん。

普段はそんなことは全くないのに、このときばかりは少し涙が出てきた。書くと長いので端折るけど、とてもスィートなおばあさんで、新人の頃から何度もお世話をしてきて、私がお世話しているんだけど、同時に看護師として育ててもらっているような感覚だった。
そのおばあさんが逝きかけている。もうなんとも言えない気持ち。

とはいえ涙声でお世話をするわけにもいかずグッとこらえて、とりあえず何がしてほしいのかを尋ねたところ「娘に電話をして」。朝の6時半だったけどすぐに電話はつながって「今すぐ行きます」とのこと(普段は90分近くかかるところ、1時間ほどで到着した)。さらに「近くに住む友達にも伝えて」というのでそちらにも電話をかけ、来てもらった。この友達の女性は到着した時点ですでに涙目。それを見たら私もどうにも泣けてきた。

ここで別の問題。
緩和ケアに切り替えられると、私たち看護師は患者さん、もしくはご家族にお葬式の手配を頼む。オーストラリアは土葬がメインやけど、火葬を望む人も中にはいるのでその確認。そして亡くなった際に遺体を引き取ってもらうため、葬儀会社を決めてもらわないといけない。
夜中にこのおばあさんの書類が記入されていなかったので「今朝、午前スタッフにやってもらわないと」と思っていたところだった。その時点では「まだ時間はあるやろう」とそこまで深刻に考えていなかった。

ところがこの急変。

その様子を見て涙がこぼれそうになっているのに、次に考えたことは「まだ葬儀の書類をもらっていない!」。

この状態でこんなことを考えないといけない自分に脱力した。看護ってなんていやな仕事なんやろうと思ったりもした。幸いこのおばあさんはご家族が到着する頃に少し正気を取り戻し、書類に関してはおそらく午前スタッフが解決したやろうけど、モヤモヤした気持ちが残った。

こんな感じで長い一日が終了。疲れた。

家に帰ってすぐ寝たけど3時間ほどしか眠れなかった。明日は午前のロングアワーなので、体内時間を戻すためにもお昼頃に起きた。
クリスマスが近づいているので隣町の大型ショッピングセンターまで買い物へ。もう少しで自分たちに犬を買いそうになったのは別の話(ビーグルの子犬。私たちがまだ犬を迎える準備ができてないので、泣く泣くあきらめた)。
帰ってきたらやっぱり疲れて3時間ほど寝てしまい、9時に起きた。明日は5時半起きなのに、今すでに12時前。眠くない。体内時間、どっちらけ。シフトワーカーの悲しき現実。明日、忙しいシフトじゃないといいなぁ。

夜勤の間、脳梗塞の患者さんについてスタッフと話をしたり、ここに書かなかった他の話もあって、いろんな意味で濃密なダブルシフトやった。現在、看護師という仕事についていろいろと考えているところ。良いとか悪いとかじゃなく、自分にも他人にも影響力の高い職業やというのが現段階のまとめ。

明日も頑張ろう。
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まさかの

2015年11月21日 00時29分12秒 | Weblog
ただいま夜勤真っ最中。

午後になって出勤したら、婦長がツツツ…と寄ってくる。いやーな予感。

「午後から夜勤のダブルシフトなんてどう?」

うーむ…。

面倒くさい。でもお給料がいい。なんてったって残業代が8時間。クリスマスも近いしなぁ…。2時間悩んだ末に引き受けた。

というわけでただいま仕事中。予報では気温がグンっと落ちるとのことやけどまだ暑い。
明日、涼しい部屋でゆっくり眠ることを支えに頑張って働くとする。
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