チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

銀座のママ

2010年02月04日 10時45分13秒 | 日記
35年間オーナーママとして
銀座で頑張っていた修さんが19日で閉店するという
19日は出張で伺えないので
雪がヒラヒラ舞い落ちる銀座へ

時は節分
天川で太巻き寿司を作ってもらい
修に丸かじりしてもらおうという魂胆だったが
エレヴェーターでばったり会ったら
先手を打たれ

「食事に付き合って」
と連れ出されてしまった
その小料理店では柊の葉に小鰯、麩で作ったおかめ、にんじんの鬼
いかにも節分らしい趣向

修は鶯色の古代縮緬の色無地五つ紋に渡文の袋帯
チャコちゃん先生は
結城紬に竹梅の手描友禅、千藤の立体織帯
共に大いに「拵えた」格好

食事を終えて店に戻ると
これまた拵えた新橋芸者が挨拶に

何が美しいって
芸者の座敷着に勝るものなし
チャコちゃん先生言葉もなく見とれる

修さんは銀座ホステスを15年
銀座ママ歴を35年
50年を銀座で過している

銀座に現れる男たちの本音を見てきたし
時代の裏側を観察してきた
華やかな表の顔だが非常に地道な生き方をしているひとだ

「義と情」で生きている人なので
きもの業界やマスコミの男たちを紹介した
チャコちゃん先生に学割でずーーーーーーと
飲ましてくれていた

それぞれの人の裏側をしゃべることもなかったが
「あの人だけは人間ではなかった」
と初めてこぼした
チャコちゃん先生もその男には迷惑をこうむっていたので
「なるほど」と納得

「義理も人情もない」世の中になってしまったので
修さんのような銀座のママは
やっていけないのも事実のようだ

店のカウンターには
大きな花器に枝振りの良い紅梅が活けられていた

「修の漬けた白菜食べさせて」
「うんうん」
おっさん達はこの白菜漬を肴に酒が進む

なんとも不思議な銀座のママ

「これからはきものの仕事をやりたい」
という望みを小声で聞いた
コメント (1)
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