チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

続けるということ

2010年02月17日 11時32分50秒 | 日記
いま日本橋三越でタイトル「藍色の宇宙]
という
秋山眞和の個展が開かれている

秋山さんは
かの有名な宮崎県に工房を持って
製作に励んでいる

まだ「小石丸」という蚕が
今ほど有名になっていないときから
純粋の小石丸を育て糸にし染めて織っている

当時は小石丸は皇室でしか育てていなかったので
とても貴重な糸だった

その糸を藍染めや貝紫その他植物染料で染めている
秋山さんの色はクール系で美しい
糸の艶、藍の命、植物の心
みーーんなが秋山さんの気持ちと溶け合って
清冽な色に仕上がり
澄ましこんでいる

手間ひまかけたものは今時流にあっていない
手間をかければそれだけ時間がかかり
それと並行して売値も上がる

でもーーーーと秋山さんは考える
伝統染織は瀕死の状態だが
今守って育てなければ日本の文化は滅亡する

そういう高邁な精神で
里山に桑畑を開き
養蚕からゴールのきものまで
創意創作して世に問い続けるという

先般お邪魔したとき
八色の美しい糸が干してあったので
この糸全部使った縞の紬がほしい
とおねだりした

出来上がった反物を友人の武田さんが
一目ぼれ
胸に抱いて離さないので彼女のものに

「もう皆からべた褒めでしたよ」
と大喜びの武田さん
褒められ方が尋常ではなかったらしい

こうやって
秋山さんは幸せな女達を誕生させている
その喜びの波動がさらに多くの人を喜ばせる

秋山さんの着物を見ていると
本当に悦びを持って製作していることが分かる

ご自分の志を揺るがせず
ひたすら製作生活を続けている
続けることは尊いと分かっていても
多くの人はわき道に行ってしまう

秋山さんを見ていると
その違いは「肚から生きている」かどうかにあるようだ

3月2日まで本館4階呉服サロン

面白くてユニークな徳人秋山眞和さんは
20日の16時まで会場にいらっしゃるので是非!

コメント
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