チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

大久保玄才さん

2012年09月12日 17時41分06秒 | 日記
「変わりませんね」
と言う言葉充分にお世辞だと分かっていても何となくクッ
今日は30年ぶりに会った染色作家「大久保玄才」さんに
そのお言葉をいただき喜んでいるチャコちゃん先生

玄才さんのデビューは衝撃的であった

其れまではきものは古典が最高でそれ以外の染色は考えられなかった
更に京都では分業で細かに作業が分かれていて
何もかも一人できものを完成させることすら考えられなかった

ましてや柄のセオリーなど無視して色のおもしろさを私たちに見せてくれた
更に玄才グレーというモノトーンのコウデイネーとも珍しかった
新しものの好きなチャコちゃん先生飛びついて取材した

黒い詰め襟のジャケットスーツに赤いフエラリーだったかな
自動車を動かしていた

グレーと云っても100鼠48茶の江戸の色を近代化しているので
今流行ってるモノトーンのきものとは全く別格

「色がなくてどうやって着るの」
と言うような意見もあったが
色にパワーがあるので洋服感覚で着たい女たちの支持を集めた

何よりも玄才ブームのおかげできものが一変した
若手の染色家は従来の模様を描くのではなく
色を塗ったくったようなものが大流行
中には金銀箔を貼るだけの人も
きものがかわった

「伝統を壊そうと必死になって新しいきものに挑戦したけど
今になったら伝統を理解しないと新しいことは出来ないかがよく分かる」
だからこそきちんとしたきものを作り続けたい
と仰っていた

実はチャコちゃん先生もそう
きものってこの世からなくなっても良い物だろう
もしきものを残すのであれば伝統に縛られてはいけない
と言う思いが強くてきものを研究し始めたのだった

しかしいまは
同じように伝統を理解しないと新しいものは生まれないと思うようになった
だからこそ
きものを通して日本の文化を見直していきたいと考えている

「30分会いましょう」と再会したが結局2時間東京駅の喫茶店で話し込んだ
お互いに仕事をし続けているのでこうやって再会し自分たちの使命を確認できる
長いことお会いしていなくても同じ未来を見ていれば
必ずまた巡り会える

コメント
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