久しぶりに昔の男友達と談笑
チャ子ちゃん先生より二回りも若いので、「おとこ」のなやみもあり、同性、やカミさんには話せない、そういう時年上の女友達は重宝するらしい
年齢的にも60歳というのは人生の岐路にあって、悩みも深い
多くの60歳を見ていたが、その年になると男は幼児がえりするか、また一旗揚げようと行動的になるか、このまま自分の趣味に生きようとするかいろんな姿を見てきた
さて件の男友達は
まさしく幼児がえりした男を持て余しているカミさんの姿があり、今までもっていた肩書に縛られて謙虚になれない夫にうんざりしているらしく、夫に対する態度が日々あらあらしく、粗雑に扱われ自信を無くしていた
思い切って一人旅に出かけた
露天風呂につかりゆっくり体をほぐしながら星空に見とれていたら、人の気配がして振り向くと「女」それも抜けるような白い肌を持つ女が美しい笑顔で男を見つめている
慌てふためいて出ようとすると
「お待ちになって」
一人旅の男の話に耳を傾け、コチコチに固まった男の心をゆっくりほぐしていく話術、そこで女は自分は「歩き巫女」という職業を持つ女で、心を病んだ男たちを相手に仕事をしていると告白
男は心を開放し、自分の部屋でさらに女との時間を持った
翌日も二人は豊かな時間を過ごした、男はすっかり心が開放され、今後自分がどう生きるべきかも見えてきたように思ったので、時々会えないか?と問うと女は嫣然と微笑みながら
「ご縁があればどこかで」
とかわされたという
「歩き巫女」はこの日本には奈良時代からある女の職業で、「白湯文字」という名でよばれていて白装束に、編み笠の装束で神社を根城にしていたらしい
チャ子ちゃん先生は「湯文字」を追求していたら歩き巫女の存在を知ることになったが、令和のこの時代にもまだ続いている職業なのだと、そちらに興味をそそられ聞いていた
件の男友達はその旅をきっかけに、自分に自信を取り戻し、カミさんとも良好な関係を構築できたと喜んでいた