チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

日本の水

2022年07月26日 10時22分46秒 | 日記
まさか水を買う時代になるとは思いもよらなかった
春日大社に葉室宮司がいらしたころ、よく女将さんサミットの方たちをお連れしてお話を伺い直来まで頂戴していた
日本の礼法はすべて祈りから生まれたものであるという話はもちろん身に染みたが、其れより強く印象に残っているのは「春日の水」

境内に脈々と流れ出でている湧き水がある。冷たくておいしく、一口飲むと疲れが吹っ飛ぶ、もちろん日本の名水の最高峰
「今ナカタニサンが口にした水は300年前の雨の水だよ」
「うん?」
山に雨が降る木を通して水が土にしみとおる、山の木は枝がはびこると自然に火が生じて葉が落ちそれが腐葉土となる。土も肥えそこから金が生まれる、金を通すことでさらに水が澄んでくる、自然に水が溜まりちょろゆろと低きに流れていく、それは小川を形成し、川を作り,河になりその水は海にそそぐ、その期間が300年だそうだ
「若水」という水はお正月にその地下水からくみ上げるのだが、自然からの贈り物として日本人は水を大事にして来た民族だ

戦後山の開発が進み、自然に流れる水が枯渇した。人間が自然の循環を切り取ってしまったということになる
そういえば戦前の家には井戸が必ずあった。その井戸水をくみ上げてスイカを冷やしていた風景は夏の風物詩だ
防空訓練でその井戸からくみ上げた水をバケツリレーして焼夷弾が落ちたという仮定の家の屋根に水をかける訓練をしていたのをかすかに思い出す

日本は山の緑が豊富で水が生まれやすく、岩盤にたまって下へ下へとたまり地下水にもなっていた。だから水の豊富な国だったのだ

山を切り崩したことからダムを作る羽目になり、そのダムの中にどれだけの家が消えていったか
とくに山間部で発達していた養蚕や染織の村はダムの中に沈んでいるところが多い、取材でそういう地に立つと胸が痛む

地下水の不思議な水「月のしずく」をボトルで飲む自分が複雑
コメント
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